当時流行した肩までかかるような”ロン毛”をなびかせる、足が長くて子鹿のように華奢な男の子。まだ大人の世界に馴染んでおらず、社交的に自己アピールすることもなかった無口な少年という印象を周囲に持たれていたのが、全日本F3にデビューした頃の高木虎之介だった。静岡の大地主の長男として、1974年の寅年に生まれ、干支からその名を付けられた虎之介。父・政巳(父は巳年生まれだ)も若い日にはセミプロとしてカローラやスプリンターで数々のビッグレースに出場していた。その父のもとで、子供の頃からレーシングカートに親し