NHK-Eテレに「100分de名著」という番組があり、私は時々視聴するのだが、ボーヴォワールの「老い」が取り上げられたことがある。上野千鶴子の解説であったが、彼女は73歳で、社会科学者の立場から「老い」について興味を持っているようだった。私も上野氏より年上でもあり、「老い」について少し考えなければならないと思った次第である。早速、ボーヴォワールの「老い」上・下を読んだが、博引旁証の説得力のある好著だと思った。その中に老人の性について論じる箇所があり、谷崎潤一郎著の「鍵」と「瘋癲老人日記」がかなり