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君の風景は僕の風景Landscape.27「何か重要な御用なら今日は簡単に打ち合わせする程度で大丈夫ですよ、大野さん」「え?」「いや、少し顔色がすぐれないようなので、何か急用かと」確かに考えた事、不安な事、様々な思想が態度に出やすいタイプだと自分でもおもうけれど、仕事中だけはそれを『装う事』を身につけたつもりだったのに。「大丈夫ですよ、櫻井さん。あーでも可能なら今日決めなければならない事だけ重点的に、、」「畏まりました。では早々に」仕事に、それも態々高額な報酬と共に日本に呼ばれた
び、、ねつ急いで楽屋から飛び出しマネージャーに頼み、車を走らせた。途中深夜まで空いているドラッグストアに寄ると、『何かと問題があるから』と、代わりに買ってくると言うマネージャーの言葉なと耳に入ることなく、ドアを開け、手当たり次第カゴに必要だろうモノを入れ、レジに向かった。元気?たったそれだけの個人LINEそれだけで感じるあの人の状況と、秘めたる気持ちわからないと思ってます?言っとくけど、それなりに色んな意味で貴方との付き合い長いんですけどね(笑)久しぶりに使う合鍵となるカードキー
君の風景は僕の風景Landscape.39「随分とお酒、お強いんですね」「あ、すみません、仕事の話なんて………………嘘ついて」呼び出された場所がいつも打ち合わせで使うカフェや個室のある料亭、ホテルの会議室ではなかったから、なんとなくだけどそんな気はしてた。今日会社に辞表を出したし、相手とも話したよ。でも、もう少し、話さないと。そんなあいつからのLINEがきた後、割と直近の呼び出し、なによりそれじゃあ、いつもの店で。うん、その、………………ごめんね、翔ちゃん。あの時聞い
君の風景は僕の風景Landscape.32スヤスヤと俺と繋がったまま眠りに落ちた和から自分を引き抜くと、間違いなく交わった証が和の体内から滴り、俺はその現実と向き合うようにティッシュで受け止め、起こさないよう温かいタオルで簡単にだけれど汚してしまった和の身体を拭き、下着だけ着せると………………抱きしめた。繰り返さないよう後悔しないよう二度とこの温もりを離さない、よう、に。和を抱きしめたまま瞳を閉じた。頭の中では若かりし幼稚な考えで和と別れを告げたあの日からの自分の姿が何
君の風景は僕の風景Landscape.6海外留学、って、嘘、だよね?その話、誰から聞いた?会社に入って初めて担当したのが智だった。まだ無名だった智は俺なんかの力なくしてドンドンと有名になり、それと並んで担当である俺も忙しく、そして智に乗っかる形で若くして会社内でそれなりの評価を得て、そんな中ほんの少し同期の中で浮いてしまった俺は、締め切り関係なく智の家に入り浸るようになった。その時の俺の恋愛対象は女だった智は既に男だった。だからだろうけど、智は最初は俺が仕事以外で家に入り浸る
君の風景は僕の風景Landscape.22コチコチと時計の針の音が静かにリビングに響いて、冷め切ったおかずは机の上にぽつりと寂しそうにいつ帰ってくるかわからない帰宅人を待ってた。時計の針は0時を回り、フレックスで遅く帰ってきた俺は灯の無い部屋に少し驚きながらも、なんとなく………………理解した。翔ちゃんは敏感だから。こんな日、いつもの俺ならばゲームなんかして時間を潰し、帰宅してきた翔ちゃんが美味しそうにご飯を食べるのを見ながらチビチビ酒を飲むのが好きだった。そんな幸せが永遠に
昔アップしたお話を何度読んでくださって本当にありがとうございます。嬉しい限りです😭今はパーフェクトナイト、、がよく読まれててダークな彼が流行りなのかな❤︎︎パーフェクトナイトも半分以上は加筆してるので………………そのうち、かも。本当に来てくださってありがとうございます。サクラコなお、例の発送は水曜日を予定しております🙇♀️
君の風景は僕の風景Landscape.42今度こそ、お願い。わかってる、もう間違いはしないよ。昔の恋人ってそんなに忘れられないもの、なんですかね。店を出て、櫻井さんが呼んでくれたタクシーに乗り込み、軽く会釈をし、ドアが閉まった事を確認すると運転手に行き先を告げた。俺の頭の中で確実に今のこの三人の関係性が理解できた今、軽々しい行動は控えるべきだと思ったから、仕事のペースを切り上げて、早くあいつを連れて、海外へ、、、、本当ならば、俺なんかよりきっと彼の方が
君の風景は僕の風景Landscape.21やっぱり気になって、一目どうしても会いたくてニノの部署を覗くと、そこにはニノは居なくて代わりに俺が託したはずのパンが机の端の方に、まるで視界に入らない所に置かれていた。胸騒ぎは昨日より増して更にトクトクと、こんな事思っては絶対に駄目なのに、そんな駄目な事ばかりが頭を過ぎる。俺、このパンあったら一生生きていけるよこら(笑)パンばかりじゃなく、ちゃんとご飯食べなきゃ駄目だって付き合う前に、こういう関係になる前に会社の屋上でそんな会話をしたよね
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君の風景は僕の風景Landscape.41酒の力を借りてしまったのが果たして良かったのか、それとも悪かったのか、なんて、それは結局………………後の、ま、つ、リ。智、今どこ?受話器から聞こえた大好きな声は、間違いなく自分ではなく他人の名前を指し示してて、その名前が嫌なほど耳に残り、同時に暗く、深い迷路に突き落とされてく気がした。「それ、誰?」その言葉を言うのが精一杯で、その後受話器の向こう側でコクンと唾を飲む音が聞こえた。間違いならば、それでいい、偶然ならば、それでいい、むし
君の風景は僕の風景Landscape.12PRRRRRPRRRRRそれは合図だった。俺はフロントに電話をかけ、今カウンターに来てる男を上に通すように伝えた。本当ならシングルの部屋、それも予約者は俺一人の部屋に普通のホテルならそう簡単には通して貰えるはずはないのだが、常連である事、もう夜が明ける事、なにより何度も打ち合わせなどでも使用してる信頼がそれを可能にした。俺は着替えるまではしないまでも、簡単に身だしなみを整えて、玄関のインターフォンが鳴るのを待つ。よくよく考えてみれば、智がここに
世界の果てに。secret.3「入る、よ」コクンコクンと弱々しく頭を振る黒髪をもう一度だけ優しく撫でて、グッと腰を下ろせば、相変わらず白く、だけどほんのり汗ばんだ背中は少し緊張したあと、しなやかに甘い声と同時に………………仰反る。十分慣らしたナカは案の定俺に絡みつき、前に前にとその身体を揺らせばその具合は強くなる。若かりし頃とは違うリズムでその身体の反応を見ながら刻むと焦ら、さないでよなんて、シーツを握りながら言うあたり、本当に可愛くて可愛くて。「焦らしてねえよ」「う
君の風景は僕の風景Landscape.40少しゴタついたけれど会社に提出した辞表が正式に受理され、無事残すは有休消化となった今、これからの自分の道にようやく視点がいく。あの部屋に残した私物はケジメの意味でも片付けたいのは山々だけど、今の状況ではそれは当然無理な話で。ニノの為ならニノが好きでいてくれる自分に変わってみせるから本人には決して言ったことはないけれど、智があの部屋から去ったあと何度も思った事。本当に自分で嫌になる程、しつこいほど思った事。多分智に
君の風景は僕の風景Landscape.26「あ、ちょっと、失礼」「電話ですか?あ、では少し休憩しましょうか、………………大野さん」何度となく震える携帯に少しばかりの緊急性を感じた。俺の持つ私用の携帯番号を知ってる人間は一度かけて出なかったら『仕事中』か『睡眠中』と理解し、LINEもしくはメールに一言残しこんなに連続してかけてくることはなく、だとしたらこの震えは最近俺の私用の電話番号を知った人間からの電話。案の定それは、ほぼ正解で。「仕事中………だよ、ね、………コン、ごめ、………コ