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それからもうひとつ…読者の方々に私たちのリアルな体験を、知って頂きたい、という思いと同時に、私たち当事者にとっても、2014年4月に行われた、生体肝移植手術から、丸10年という節目を迎える現在、今一度、激動の2014~2015を、振り返りたいという、熱い思いがあります。現在、私たちは2人とも、健康で幸せな生活を、送ることが出来ています。それは、とにもかくにも、夫の体内の移植肝臓と移植腎臓が、順調に機能してくれているからなのですが、ともすれば、それを忘れてし
そして、もうお一人、強力な援軍になって下さる医師と、知己を得ることが、出来ました。それが、西光雄医師です。西先生は、74歳の現在も、香川県坂出市にある、聖マルチン病院の名誉院長として、患者の診察を、続けていらっしゃる、現役の泌尿器科医です。そればかりではなく、ベテランの腎移植医として、はるばる、東京へも遠征して、移植手術の現場で、応援・指導に入っている方です。ところで、このブログでもよく登場する、「瀬戸内グループ」という言葉…実は、この謎めいた言葉は、
…こんな経緯で、2016年12月に始めた、「ダブル移植の語り部」ブログ。本編は、2年3か月にも及び、(というとカッコよく聞こえますが、実際は、単にダラダラ書いただけ…)最後は、すっかり元気になり、会社勤めも難なくこなせるようになった、夫とともに、高知県に〈だるま夕日〉を見に行く、という最終章『だるま夕日』で、幕を閉じました。その後も、続編として、「どなドナDONOR」と銘打った、地味なブログを、書き続けていたところ、えひめ移植者の会会長の、野村さんから
それにしても…井川線始発の千頭(せんず)駅から乗車した、時代遅れの赤いミニ列車と、車窓に広がる風景は、ゆったりとした時間の流れとも相まって、色々な落とし物に、気付かせてくれました。「お手軽ですよ」「効率ナンバーワン」「座っているだけで、スイッチをポンと押せば、それで完了」なんていうセールストークが、花ざかりの現代ですが、それどころか、それが更に進化して、「スマホがあれば、何でもできる時代」が、近々、到来しそうです。それは同時に、「スマホがなければ、何も
奥大井湖上駅周辺で、一番見晴らしが良かったのは、(枯れ草が生い茂った展望所ではなく)駅のすぐ後ろにある階段を、上ったところにある、ログハウス風の休憩所でした。私たちと同時に、湖上駅に降り立ったほとんどの乗客は、更に終点を目指して、次の電車に乗っていったので、残ったのは、わずか数人。数人しかいない休憩所で、帰りのミニ列車が来るまでの、小一時間、ボンヤリと、湖上駅の風景を眺め続けていました。快晴ではなかったけれど、小雨降る冷気の中で、南アルプス
井川線(南アルプスあぷとライン)は、終点の井川(いかわ)駅まで、途中13の駅があるのですが、今回私たちは、9つ目の駅で下車し、先の区間は、諦めることにしました。(帰りの普通列車の本数が少ないので…)さて、千頭駅でも、切符購入は、現金で済ませました。ほんの10年前までは、当たり前だった、現金での切符購入。それがいつしか、キャッシュレス決済へと変容し、ここ1~2年は、スマホ決済へと、更に変化しています。今回、地元のバスに乗る時には、常に整理券を受け取り
井川線3つ目の駅〈土本(どもと)〉の車掌くんのガイドは、「かつては栄えた、土本地区も、今では、4世帯だけの集落に、なってしまいました。ちなみに、4世帯のうちの3軒の名字が、土本さんです」その次の〈川根小山(かわねこやま)〉という駅に近づくと、「この駅名は、ひらがなにすると、『ネコ』が入っているんです」という、ダジャレガイドも入ります。~ウミネコやヤマネコなら、聞いたことあるけど、かわねこかあ~何とか、沿線駅を盛り上げようとする、車掌くんの思いが伝わっ
井川線(南アルプスあぷとライン)沿いの大井川は、清流の趣が漂います。上流に行くほど、透明度が増していく感じ…そして〈アプトいちしろ〉という、変わった名前の駅に到着。この駅から、次の〈長島ダム〉駅までは、急勾配の線路を、登り降りします。この区間は『アプト式鉄道』という、日本で唯一の、歯形レールを使っています。そして、この歯形レール(ラックレール)を登るために、アプト式電気機関車が、連結されます。「連結の様子をご覧いただけます」という案内を聞いて、ほぼすべての
雨はすごいし、こんな急な階段、踏み外さないかなあ。…心の中は、あとずさり状態なのですが、ここまで来たら、途中でやめるわけにもいかず、恐る恐る、鉄板階段を上り続け、やっと上り切ると、今度は、木の根っこが浮き出た、土の道に…雨で濡れた木の根っこは、スベる~スベる~キャーキャー言いながら、何とか転ばずに通過すると、その先すぐに、展望所がありました。展望所には、誰もいませんでしたが、我々より遅れること5分…こちらに向かう、ガサゴソした人の気配を感じたので、拍手
車を所有しない私たちは、電車と路線バスを乗り継いで、観光地を訪れるので、他の方々のように、自家用車や観光バスで回れば、3時間程度で済む観光地巡りも、倍の6時間かかります。また、近頃は、路線バスの本数が、更に減らされ、電車とバスの連携がますます悪化…そんな状況なので、毎回事前に、路線バスの時刻を調べて移動スケジュールを立てねばなりません。地方バスの時刻表とにらめっこして、「よし、これで大丈夫!」と確認し、スケジュール表を握りしめて、出発するのですが、敵も
さて、何故私が、大井川の話題を持ち出したかと言えば、この川沿線を走る、大井川鐵道に、乗ってみたいと思ったからであり、何故乗ってみたいと思ったかと言えば、大井川鐵道上の、とある駅に、降り立ってみたいと思ったからなのです。(←まわりくどい説明だなあ)その駅とは、大井川本線の更に奥にある、井川線の『奥大井湖上駅』です。【奥大井湖上駅】山々に囲まれた接岨湖(せっそこ)の真ん中にある無人駅です。長島ダムがある接岨湖にかかる、赤いレインボーブリッジの真ん中にある、絶
そして、とうとう、秘境駅と呼ばれる、〈奥大井湖上駅〉に到着。湖の上の赤い橋(レインボーブリッジ)のすぐ脇に、駅の表示板がポツンとあるだけの駅。赤いミニ列車と車掌くんとは、ここでサヨナラです。青いベンチコートを着て、車掌帽をかぶり、ザーザー降りの雨の中を走り回る、若き車掌くん。列車を降り、いよいよお別れという時に、どうしてもひと言、彼に伝えずにはいられませんでした。「観光ガイド、とっても楽しめました。どうもありがとう!」すると車掌くんは、驚いた顔で、
削っても削っても、減らない様子を見かねた、野村さんが、「ご本人だと、思い出や文章に、愛着があって、なかなか削れないでしょうから、私がお手伝いしましょう」と、申し出て下さいました。そのおかげで、なんとか2020年3月に、究極のダイジェスト版として、まとめ上がり、「命の贈りものPart3」という、タイトルで、出版にこぎ着けることが、出来ました。(ちなみに、野村さんは、愛媛新聞社勤務だったので、文章校正には強い方で助かりました)そして今、ブログ開設時から、7年
大井川鐵道は、大正14年、大井川上流部の電源開発と、森林資源の輸送を目的として、創立されました。昭和6年には、〈金谷~千頭〉間が、開通。それまでは、イカダと船、峠越えの馬、徒歩以外に、交通手段の無かったこの地域の生活を、一変させました。その後、昭和34年には、大井川水系の、ダム建設のために作られた、中部電力所有の専用軌道を、移管し、大井川沿いを、更にさかのぼる、井川線(南アルプスあぷとライン)の運行を開始。昭和51年には、全国でいち早く、SLの復
行きは、大ぶりの雨でしたが、帰りの赤いミニ列車が、奥大井湖上駅から、始発駅の千頭まで、行きとおなじルートで戻る頃には、天気は、雨から一気に晴れへ。2022年秋の、大規模な土砂災害で、不通区間となっている、大井川本線の、千頭(せんず)~家山(いえやま)の間は、電車に乗れないので、日に数本運行している、町営バスに乗って、やれやれやっと、家山駅に帰り着きました。「あとは、大井川本線の電車に乗れば、スタート地点の金谷(かなや)駅に戻れる」と、ここまで、予定通りの日
不通区間の、家山駅~千頭駅間は、現在も復旧していないまま(復旧の見通しも立たないまま)なので、代替輸送手段として、町営バスが、日に数便、運行しているようなのですが、本数が少ないので、ひと便でも逃したら大変です。さて、この大井川本線の、駅名を見て驚くのが、縁起の良い駅名が、続いていることです。「合格」駅や「門出」駅なんて、思わず口元がほころんじゃう、幸運を呼び込むような駅名です。…と思っていたら、こんなアイデア切符の案内がありました。大井川本線には、『
(昨日の続き…)(3)移植した肝臓は、その後、敗血症を乗り越え、機能するようになったものの、敗血症によって、突然、急性腎不全になった夫の、2つの腎臓は、その後回復することはなく、腎機能がダメになってしまった夫は、人工透析生活を、余儀なくされるようになりました。↓(4)「夫を何とか人工透析生活から離脱させてあげたい」という、私の思いや学びや行動が、実を結び、肝臓に続いて、2度目の臓器移植手術である、「生体腎移植手術」を、受けることが出来ました。
アプトいちしろ駅から、長島ダム駅までの区間は、歯形レールの上を走るだけあって、ガッタン、ガッタンと、一段ずつ登っていく様子が、車内にも、響き渡ります。長島ダム駅に到着すると、アプト式電気機関車は、切り離されます。連結する作業、切り離す作業、その間の停車時間、…それらすべてが、「効率」という、現代最強の尺度から離れていて、なんとも心地良い身体感覚を、呼び起こしてくれます。車掌くんはと言うと、停車時間が長い駅では、駅のトイレに乗客がいないかを、発車直前に
「脳死ドナーがいるのに、移植が行われずに終わるケース」つまりは、臓器提供の意思を示しているドナーが、せっかく存在しているのに、「うちの病院では、臓器提供や臓器移植手術をする体制が、出来ていないので、残念ながら…」と、大切なドナーの意思も臓器も、待ちわびるレシピエント側に、届くことなく、立ち消えになってしまうケースが、多発しているという、移植医療施設の、体制未整備の問題。これも、早急に解消しなければならない、課題であることは、明らかです。言うまでもありま
それとは異なり、日本で絶えず話題になる、若者の就職先ランキングでは、『経済面での待遇の良さ』や『福利厚生』といった、要は、『給料が高くて手厚い生活支援のある』就職先が、人気のマトです。確かに、お金が無ければ、生活は苦しく、心も荒んでしまいがちです。それゆえに、我々は疑問も持たずに、『効率良く仕事をして給料やボーナスを少しでも多く貰えるようになる』ことが、幸せへの原動力になるのだと、信じ、立ち止まって考えることもなく、その価値観を、受け入れ続けてきたのかもしれま
列車は、南アルプスの渓谷を、ゆっくりと進んでいきます。トンネルが間近に見えてくると、すかさず、こんな案内が入ります。「まもなく、トンネルに入りますが、トンネルの中が、ギャラリーになっています。列車は速度を落として走行しますので、四季折々の沿線風景のフォトパネルを、どうぞお楽しみください」というアナウンスの後、乗客がパネルを見やすいように、列車は、減速してトンネル内へ。すると、真っ暗なトンネルの壁面に、鮮やかに浮かび上がる、美しい沿線風景のフォトパネル。
ひとつは〈食欲不振〉です。肝硬変が進行すると、食べたものを消化するのに不可欠な、肝臓の助けが、ほとんど無くなるので、常に気持ちが悪く、おなかが空いた、という感覚が、無くなるようです。確かに…気持ちが悪く、吐き気がする時に、何か食べたいなどとは、思いませんよね。健常人なら、病状が回復すれば、「おなかが空いた」という食欲も、戻ってきますが、夫の場合、食欲が戻ることはなく、お昼ごはんも要らない体に、なっていました。もうひとつは〈血流〉です。肝硬変が重症化す
知らぬが仏、とはこのこと!…「ズボンがきつくなった→中年太り」という解釈で、新しいズボンを購入した私でしたが、実は、その時同時に、「この頃、食事量が、明らかに減っているのに、どうして太るんだろう?」という、素朴な疑問もありました。その「?」を夫に向けると、「水太りじゃないの?オレは水を飲んでも太るタイプだから」とかなんとか言うものですから、素直な(!)私は、その答えに納得し、『水太り』という判定で、ズボンキツキツ現象を、処理していました。…実は、既にこ
列車に戻ると、すぐにマイクを手に取って、車掌くんの観光ガイドの再開です。「本日の天気ですが、午前中は雨、午後からは晴れ、という予報です。ですが、山間部を走りますので、山の天気は、予報より、回復が遅れるかもしれません」…と、今度は天気予報まで、伝えてくれます。それを聞いた夫は、「天気は気まぐれだから、君のせいじゃないよ。そこまで気にしなくていいさ」と、楽しそうに、合いの手を入れます。その後、長島ダムや、(私たちが目指す)奥大井湖上駅のある、接阻(せっ
【羽ばたき振戦】通常、体内でたんぱく質を分解する過程で生成される、有害物質のアンモニアは、肝臓で無毒化されて、尿素に変わり、尿として排泄される。ところが、肝硬変などによって、肝機能が低下した場合、肝臓がアンモニアを、処理できなくなり、脳に運ばれたアンモニアが、肝性脳症を引き起こす。羽ばたき振戦は、肝性脳症の神経症状のひとつである。…このように、振戦は、重度の肝硬変であることを知らせてくれる、大事なシグナルだったのです。そして、この振戦の症状こそが、結果的に、夫を
今日からは久々に、我々夫婦の身辺雑記を、綴らせていただきます。内容的には、「臓器移植」に直接関係しない話題ですが、「臓器移植手術を二度もした、レシピエント(夫)と、同じく二度も臓器提供をした、ドナー(私)が、移植手術後10年近くたっても、こんな風に元気に、アチコチ出向くことが出来る」という目線で、脱線気味の話題にお付き合い頂ければ、幸いです。さて突然ですが、皆さんは、大井川と言う川を、ご存知でしょうか?な~んて書いている私も、『静岡県にあって、
ですが、両替の煩雑さは同時に、キャッシュレスから解放された感覚、~運賃と小銭が釣り合っていると、確認できる身体感覚~を、久しぶりに味わうことに繋がり、なんだか無性に、ほっこりしました。「効率重視の日常のせわしなさから、ひと時離れてみたい」と、心のどこかで願っている人々にとって、『旅をする』という、非日常体験は、「効率重視のせわしなさ」を、打ち砕くものであればあるほど、心に残るように思います。さあ、いよいよ楽しみにしていた、千頭駅始発の井川線専用の、幅の狭い
「熊の胆(くまのい)」は、熊の姿がリアルに描かれた、パッケージだったので、子ども心に、その存在は、しっかりと記憶していますし、お腹が痛くなると、『富山の薬箱』を勝手に開けては、熊のパッケージの薬を、躊躇することなく飲んでいました。子どもの頃、「お腹が痛い」という症状が出た時に、いつも服用していた「熊の胆」…実は、この生薬を、化学的に合成したものが、〈ウルソ〉という肝臓薬だと知ったのは、夫の肝移植手術のドナーとなった私が、退院時に、40日間服用するようにと指
『越すに越されぬ大井川』という、馬子唄のイメージからは、かけ離れた、大井川下流。土砂が堆積している、大井川下流は、お世辞にも、綺麗な川とは言えません。それでも、大きな河川沿いを走る、大井川鐵道本線は、独特の山林風景の中を走ります。車窓を流れる風景は、(言い古された表現ですが)古き良き日本の原風景です。さてさて、事前学習で学んだ、縁起の良い駅が、近づいてきたぞ。まずは、日切(ひぎり)駅。次に、合格(ごうかく)駅。そして、門出(かどで)駅。…この辺りの線路沿
旅行プランナー(私)の楽しみは、事前の詳細情報のチェックや、時刻表のチェック、それから、列車とバスとの接続可否のチェック…まずは、大井川鐵道について、(鉄道マニアのように、微に入り細に入りの情報入手は、出来ませんでしたが)それなりに調べてみました。大井川鐵道は、大井川本線と井川線の2路線を運営する、静岡県の私鉄です。(『鉄道』の表記を、今でも旧字の『鐵道』としているところに、この鉄道の歴史や矜持を、感じます)SL列車を、常時運行し、運賃収入の約9割を