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ーー由依ちゃんに、お願いがあるの。梨加さんがそう切り出したとき、胸が苦しくなった。その"お願い"が決して明るいものではないと、聞く前に分かってしまったから。ーー由依ちゃんには話しておくね。……学園長以外には誰にも話したことのない、私の過去を。私は梨加さんの全てを知った。梨加さんが理佐さんを突き飛ばした理由も、理佐さんの気持ちに応えずにいる理由も。Episode18
ーー無邪気に笑っていたかと思えば、ふっと憂いを帯びた表情もする。その心の中では、一体どんなことを考えているんだろう。知らなかった一面を見るたびに、もっと、あの人を知りたいと思っている自分がいた。Episode11『想いの対角線』学校の校門前で足を止めて、中に入っていく大勢の生徒たちを見回す。「さすがにまだいない、か」あの二人が登校してくるのはいつも時間ギリギリだもんね。再び歩き出して校門を通り校舎に向かいながら、昨晩の夢を思い浮かべる。夢に昨日の帰り道の情景が出てき
こんなに苦しいのに。あなたは私の手を決して離してはくれない。苦しいのは私だけなんだと、実感してしまう。Episode15『抑圧』「ーー小林っ!!」耳のすぐ側まで声が近付いてきたのと同時に、強い力に腕を掴まれる。勢いがあったはずの両足があっさりと失速して前に進めなくなった。「おい、何で避けるんだよ?」「……っ」「!お前、泣いてんの……?」顔を覗き込まれそうになって顔をそらす。聞こえないように静かに
夕焼けが夜の闇に色を変えていくのを止めることはできない。どんなに拒んでも夜は必ずやってくる。まるで心の不安を煽るかのように、空が太陽を落とす。変わらないで欲しいと願いながら、私は声を出せずにいる。そして、自分がずっと足掻いていたのだと気付く。Episode16『滴下』日が落ちるのがやけに早い一日だった。今日の授業で板書したノートと配られ
ーーどんなに願っても、決して叶わないことがある。独りよがりの願いを抱えたまま走り続けても、ゴールに辿り着くことは永遠にない。何度も振り出しに戻るだけ。頭の中ではとっくに分かっているはずなのに、未だに立ち止まり方が分からない自分に、今日もまた、乾いた笑いが漏れた。Episode13『決壊』週明けの月曜日。昼休みを告げるチャイムの残響が耳から完全に離れてから、重い腰をあげて教室を出る。廊下を進んで小屋上への扉を開け、陽の下に出た。手すりにもたれかかって今朝届いた梨加ちゃんから
ぴったりと触れ合っている身体。伝わる体温。だんだんと速くなる心音は、自分のもの?分からなくてただ、私は戸惑っていた。でも腕の中に包まれている感覚はなぜかすごく、安心した。Episode8『背中越しの想い』足音が完全に聞こえなくなって訪れた静寂。背中に触れていた両腕がゆっくりと離れて視界がひらける。さっきまで置かれていた状況にまだ頭がついていかなくて、呆然と理佐さんの顔を見上げた。「……何見てんだよ」「え?……あ、ごっ、ごめんなさい!」ものすごく近い距離で目が合って
「生徒と教師。それ以上でも、それ以下でもありません。」「ただ、あの日以来他の生徒よりは気にかけているつもりです。見つけずらいSOSを見逃したくないので。」焦りを見せたらアウトだと思った。いつものポーカーフェイスを浮かべ教師の小林由依で答えられたと思う。校長「そうですか。それならいいのですけど。」「最近やたらと貴女と渡邉理佐が一緒にいるところを見るという生徒が多数いましてね。」「ご心配、ご迷惑おかけしてすいませんでした。」校長「いえ、ただ先生ひとついいかしら。」「はい、?」校長「
梨加ちゃんが補習を終えて、体育館を出て三人で歩き出したとき、ふいにポケットの中で震えたスマホ。『理佐姉ちゃん、会いたい』……またか。朝から数えてこれで十通目だ。また無視しようとしたけれど、放課になってすぐに送られてきた『理佐姉ちゃんが来てくれるまでずっと待ってる』というメッセージを思い出して、足を止めた。口から漏れそうになった溜め息を飲み込む。「……ごめん、先に校門向かってて」二人を先に校門に行くように促して、私は廊下を駆け出した。Episode10『悠遠の交わり』教室の前
「ちょっと、公園寄っていこっか?」先程までの雰囲気とは打って変わったかの様に、梨加ちゃんは柔らかく優しい雰囲気を醸し出していた。あんな梨加ちゃんは見た事がなかったけど、梨加ちゃんの由依を大切に想う気持ちが犇々と伝わってきた。陽が落ちた公園には、備え付けられた灯だけが灯っていた。夜の公園は、不気味な感じしかしなかったけど、如何してか、梨加ちゃんと居るとそんな事は全く感じられなかった。「久し振りに、あんな大きな声を出したから、まだ動悸がしてるよ」「…あんな梨加ちゃん、初めて見た」「ふふ
結局何も無く私と理佐は各自の仕事へ戻った。玲「あ、いたいた、由依ちゃん」「おお、玲おつかれー。」玲「お疲れ様ー。ねー!もうちょっとで後夜祭始まっちゃうよ!」「緊張というか、恥ずかしいというか、」玲「皆盛り上がってくれるかなー。」「どうだろうね、笑」私と玲、そして七瀬先生、ぺーちゃんの4人でティーチャーズなんてだっさい名前の後夜祭限定のアイドルを結成した。レッスン場を借りて、振り合わせをして、それなりの出来栄えにはなったと思う。西「あ!!2人ともおったー!」渡「探したよ〜笑」
KEYAROOMも第12夜で最終回になります。今回は最終回という事でメンバー8人が登場!まずはKEYABINGO!本編の話題ほんとそうだよね(^-^)あれはかなり欅の事が好きだよ!りさは走高跳びでこれをしようと一瞬考えたらしい笑そして次はパジャマお披露目まずはねる!そうそう!ねるはこうした感じのパジャマが似合うね(^-^)次はゆいぽん!大人っぽいね!ゆいぽんは何歳だったっけ!?笑みんなに足が綺麗と言われて隠す笑3番手はてち!白に統一したパジャマ凄く似合っとう
ぽん吉「新作の小説になります。前回の小説とはガラッと変わった内容なので頑張って書いていこうと思います😊最後に大事なお知らせがあるので最後まで読んでいってくださいm(*__)mでは、スタート」ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーひかるside私は親からの愛情を貰ったことがない毎日毎日、親からの罵声や暴力を受けているでも、私はこの人と出会って世界が変わった私はこの世界を利用して親に復讐する平手「今日で最終締切なんだけど?どうするつもり」母「この子を売ります。」理佐「ガ
ーー由依ちゃん、久し振り。放課後、皆が教室を出ていった後に廊下から梨加さんに声をかけられて驚いた。心配してくれてありがとうね、と笑った梨加さんの隣に理佐さんの姿はなかった。軽く会話を交わしてから、そうだ、と何かを思い出したように梨加さんが呟く。「ちょっと由依ちゃんに話したいことがあるんだけど、この後って空いてるかな?」浮かんでいた笑みがふっと消え真剣な表情に変わった梨加さんに、頭をよぎったのは昨日の光景。本当なら、快く頷くことができていたの
きらまり綺良は茉里乃が歩いている所をそっと近づいた。音を立てないように、慎重に。ガッ!っと茉里乃のお腹を掴んだ。「うっ…」「んふふ…驚きました?」綺良は腕の力を強くして、茉里乃のお腹を締め付けた。「綺良ちゃん、痛い」「嬉しいですよね?嬉しいですよね?」「わかったから、一旦離して。このままだとお腹なくなっちゃう」ゆっかねん茜に隣の楽屋に来るように言われた。なんか企んでいるのだろうなと察する。私は大人しく隣の部屋に行った。「ゆっかー。来てくれてありがとう」「全然大丈夫だよー。
それから、他愛のない話をしながら三人でカレーを食べ進めた。でも、お父さんは食べ切るのがすごく早かった。「ごちそうさま。理佐、いつもありがとな。ご飯作ってくれて」食べ終わって何を言うのかと思えば、そんな事を言うものだから、恥ずかしくなる。そして、ふと隣の由依を見れば、まだ半分以上カレーが残っていた。私の視線を追って、お父さんも由依を見る。勿論の事だけど、私達二人からの視線を浴びた由依は食べる手を止めて、目を丸くする。「あぁ、ごめんな。由依ちゃんは食べるのがゆっくりなんだと思ってな」
洗濯物を干し終えて、自室へと戻れば、小さな寝息をたてる由依を切なく見つめる梨加ちゃんの姿があった。「…消毒…しなくて大丈夫かな…?」「…本当は、した方がいいけど…。それよりも、ゆっくりと寝かせてあげたいかな…」「…そっか。あ、梨加ちゃんはどうする?」「理佐ちゃんさえよければ、泊めてもらえるかな?この雨の中帰るのも億劫だから」「大丈夫だよ。毛布と掛け布団持ってくるね」お父さんの部屋の押入れから、余っている毛布と掛け布団を取り出して、自室へと運ぶ。流石に、雑魚寝してもらう訳にはいかなか
「梨加ちゃん、由依居る?」高校に入学して、早いもので三ヶ月が経過していた。梨加ちゃんとも、タメ口で普通に話す事に慣れてきた。梨加ちゃんは、何やら書類を書いていて、ある程度の所まで書き終えれば、椅子を回転させてカーテンの締め切られたベッドを見る。そちらに視線を移し、よくよく耳を澄ませば、小さな寝息が聞こえてきた。「理佐ちゃん」由依を起こさない様にと、梨加ちゃんは小さく声を掛けてくる。視線を梨加ちゃんへと移せば、梨加ちゃんの眉は少し下がっていた。「どうしたの?」「……今日の怪我、結
夏鈴ちゃんからの内容に私は走り出した。"体育館用務室でひかると理佐さんが袋叩きにあってて!!"ふざけんな、どこのどいつが、なんて考えたって仕方ない。大丈夫、理佐もひかるも喧嘩は強い、絶対に大丈夫。「はぁはぁ」ガチャガチャ開かない、鍵がかかってる、ドンドンドン「理佐!!!ひかる???!!大丈夫ー??!!」森「はぁっはぁ、由依、先生、助けて、」「ひかるー??!すぐ行くから!!!」藤「先生!!鍵!!」「ありがとう!!!」西野先生や、ぺーちゃん、他にも多数の先生を連れてきてく
まさか、渡辺さんに出会すだなんて思いもしなかった。「こんばんは」「こ、こんばんは…」渡辺さんは優しく微笑んでくれた。でも、渡辺さんはすぐに家へと向かおうとするものだから、急いで引き留めてしまった。「あ、あのっ…」「ん?」「その……、由依とは、どういった関係なんですか?」「?…従姉妹だよ?」「あ…そ、そうですか…」私の問い掛けに、渡辺さんはクスリと笑うと、変わらず優しい目で答えてくれた。由依に予め聞いていたにも関わらず同じ事を聞いてしまったのは、どうしてなのか、この時の私には
「あの…梨加ちゃん…、私、お金ないんだけど…」何ともスラスラと事が進んでしまい、由依の手には真新しい携帯電話の入った箱やら充電器の箱が入った袋が提げられていた。梨加さんは今年から教員として働き始めたらしい。この地域では女子生徒に人気の欅坂女学園の養護教諭をしているそうだ。養護教諭って、結構歳の多い女の人のイメージだったけど、梨加さんみたいに若い人も採用されるんだな。「お金は要らないよ」「え…でも……」「それは、私から由依ちゃんへのプレゼントなんだから」「……」梨加さんは満足気な
「じゃあ、私一旦学校に戻るから、何かあったら連絡して?」「うん、分かった。梨加ちゃん、ありがとう」梨加ちゃんを見送ってから自室へと戻れば、由依がベッドに腰掛けていた。顔はガーゼで覆われ、腕や足は包帯が巻かれていて、見るからに痛々しい容姿となってしまった。「由依、お腹…空いてない?」「あ……うん、たぶん、空いてる…」曖昧な返答には触れずに、お粥をミニテーブルの上に置けば、少しだけその目に輝きが戻った気がした。レンゲを渡せば、ゆっくりとお粥を口に運ぶ。何を言うでもなく、ゆっくりと噛ん
「理佐ちゃん、入学おめでとう!」梨加さんが渡り廊下で擦れ違った際に、笑顔で声を掛けてくれた。すぐにお礼の言葉を返せば、梨加さんは周囲の様子を窺っていた。いや、正しくは誰かを探していた。勿論、誰を探しているのかは分かっている。だって、その人物は私も探している人だから。「理佐ちゃん、由依ちゃんは…?」「それが…私も探してるんですけど、見当たらないんですよね…」春休みに入るや否や、由依は梨加さんの元を離れ、両親と暮らす様になった。それ以来、由依に連絡を入れてもほとんど返ってくる事がな
理佐の温もりを、いつも感じていたいと思った。でも、それはワガママな事だと分かっている。それでも、いつも、理佐の温もりを求めていた。だけど、口に出来ない。伝えたい事は、いつも呑み込んでしまっていた。だって、理佐に迷惑を掛けたくないから。でも、私は理佐に迷惑を掛ける事しか出来ない。理佐だけじゃない。梨加ちゃんにも。梨加ちゃんには、金銭面でも凄く助けられている。あの時だって、梨加ちゃんがお金を払ってくれたお陰で、知らない男の人達に何度も抱かれずに済んだ。だから、そんな二人の事を頼
ぽん吉第5話では、スタート⊂('ω'⊂)))Σ≡GO!!ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーひかるside目を覚ますといつの間にか自分の部屋に居た夏鈴「起きた?」ひかる「はい」夏鈴「理佐さんが運んできてくださったんだよ」ひかる「お礼言わないと」夏鈴「後で言っておきな」ひかる「夏鈴さんは何でここにいるんですか?」夏鈴「一緒に夜ご飯食べようと思って」ひかる「私ご飯食べていいんですか?」夏鈴「勿論、ご飯持ってくるからちょっとまってて」夏鈴「どうぞ」ひかる「美味
あれから、梨加ちゃんは持って来てくれた薬の用法や用量を説明してくれた。薬を飲む為には、少量であっても何か胃に入れなくてはならない。あれだけの咳が出ていて、声が枯れてるとなると喉は腫れているに違いない。それに、体力も落ちていて、胃腸も弱っているとなると、消化にいい物を作る必要がある。そう思って、少しでも栄養が摂れる様にと卵粥を作っていた時、一日ぶりにお父さんが帰宅した。お父さんに大まかに現状を伝えれば、由依の事と知ってすぐに納得してくれた。それでも、私が卵粥を作っている間に、梨加ちゃん
織「ねぇぺー、そのパンひと口ちょうだい?」渡「えー。」理「ぺーちゃん、ひと口欲しいなぁ」渡「んふ、いいよ?あーん」理「あーん、うん、美味しい!!」織「なっ、ぺー理佐にだけは上げるよね?」渡「そんなことないよ?ねるちゃんにもあげるし、織田奈那だけだよ。」織「それはそれで辛いんだけど」理「ふふっ」渡「っ///」可愛い、目が合っただけで照れるうちの彼女は。平「理佐〜」理「はーい!じゃぁまた後でね、ぺーちゃん」渡「うんっ!」20分後「ぺーちゃん」私がソファーで猫の動画を見てい
由依が梨加さんの家に居候し始めてから、早いもので二週間が経過した。朝ご飯と晩ご飯は、梨加さんと食べている様だけど、お昼ご飯は給食を食べる様子は一切なかった。四時限目が終われば、すぐに教室を出て屋上へと行ってしまう。今日だってそうだ。私はお弁当を持って、由依の後を追った。屋上へと着けば、由依は決まった場所に座って、空を見上げていた。「ゆーい」「…理佐」「今日もお昼食べないの?」「…好きな献立じゃなかったから…」視線を逸らしてそう言うものだから、それが嘘なんだとすぐに分かった。
由依が両親と離れて暮らす様になってから、早いもので三ヶ月が経過した。以前は、この程度の期間で一緒に暮らせる様になったはずだけど、今回は土生さんからの連絡はまだないらしい…。その連絡を待つ間に、年が明けて、柔らかな日差しが降り注ぐ日が増えて来ていた。もうすぐ春休みに入る事もあって、クラスは遊ぶ予定やクラス替えの話題で持ち切りだ。「ねぇ、理佐。偶には一緒に遊ばない?」そう誘ってもらえるのは有難いけど、返答するよりも先に私の視線は由依へと向かってしまう。そうすれば、勿論、誘ってくれた子の視
それから段々と、受験の事でいっぱいいっぱいになってきて、由依と過ごす時間も少しばかり減ってしまった。それでも、登下校は一緒にしていた。そして、その日は何だか由依の表情が暗く見えた。「…由依?」「……」「由依?どうしたの?」「え、…あ、ごめん。何?」朝からずっとこの調子で、相変わらずお昼は給食を食べる事もなく、屋上で過ごしている。以前、何故給食を食べないのか追及した事があった。でも、あの時は由依が精神的に安定していなくて、結局答えは見つからないままだった。その事を、梨加さんとメ
ーーあの人を追いかけるあなたの背中を、いつも眺めてた。「一番になりたい」なんてわがままは言わない。ただ、あなたの特別になりたいんです。『ここにいたこと』《登場人物》【小林由依】ーー"好き"とか、よく分かんない。どうしてそんなに誰かに夢中になれるの?私立ワタナベ女学園高校に入学した新一年生。物事に対してあまり興味を持ったことがなく、いつも感情が冷めている。入学早々"Wワタナベ"の存在で騒ぐ同級生たちを「くだらない」と呆れた目で眺める。【渡邉理佐】ーーあんた、愛を知らない