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Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について解説します。前回は、ヤン・ウェンリーが自由惑星同盟を見捨てた経緯とその理由について述べました。そのなかで、民主主義とは歴史を超えて人類が受け継いでいくべき道しるべであり、市民達が主権者として建国した民主国家が、もしその理念に反し、正当な手続きも人権も守らず、不当に市民を拘束・弾圧・抹殺しようとするならば、彼らは自分の権利と民主主義の理念を守るため、それに抵抗すべきであるという強固な信念をヤンが抱いている事が明らかにな
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について考察して行きましょう。前回は、本記事の前編として、ヨブ・トリューニヒトを扱いました。華麗なる詭弁家、そして祖国を枯死させたやどりぎ等と散々酷評されている彼は、原作出版以来、作中1、2を争う悪役として描写され、認識されて来ました。事実、ヤンやキャゼルヌ、そしてロイエンタールなど、作中主要人物からは敵味方問わず嫌われ、警戒されていました。また、大勢いる陰謀家達の中でも、驚異的な生命力を誇り
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について考察して行きましょう。前回の記事では前編後編に分けて、ガイエスブルク要塞を用いたイゼルローン要塞攻略作戦を取り上げました。そしてその中で、ラインハルトとオーベルシュタインの代理戦争が生じており、ケンプとミュラーはその犠牲にされていたと結論しました。宰相として帝国の実権を握ったラインハルトでしたが、キルヒアイスを喪失した直後であり、おまけに激増する業務に忙殺されており、公私ともに大きな激変に見舞われ
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について考察して行きましょう。前回は、前、中、後3記事に分けてアムリッツァ会戦を取り上げました。帝国、同盟双方の命運を決した史上最大の戦い。小説版の記述やデータを検証し、出来得る限り忠実に再現してみた結果、幾つもの新事実が発覚しました。特に、前哨戦においてウランフとボロディンは、味方の撤退を援護するため敢えて殿を引き受け、それが戦死につながってしまった事。その甲斐もあって、アムリッ
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について考察してみましょう。前回は、同盟軍の名将ヤン・ウェンリーが、なぜ首都を守るアルテミスの首飾りを独断で破壊したのかについて考察しました。それまでの彼は同盟の一市民、それに、歴史家志望でありながら不本意にも軍隊に入っに過ぎない一個人に過ぎませんでした。その彼が、物語で最初に民主主義の守り手として振る舞ったのは、この救国軍事会議のクーデター鎮圧の時でした。ヤンは権力や国家機構を絶対視せず、それは人々が生
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について考察して行きましょう。前回は、このテーマの前編としてアスターテ会戦の顛末と、それにまつわる謎を取り上げました。そしてその中で、帝国軍と同盟軍は互いに相手の情報を詳細に渡り入手していた事、そして、ラインハルトに至っては艦隊番号まで把握していた事を述べました。ホームグラウンドの同盟軍は、その利点を生かして、早期に敵情を調べ上げる事は難しくなかったでしょう。また、劇場版「新たなる戦いの序曲」によ
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について考察して行きましょう。前回の記事では、物語冒頭に始まるアスターテ会戦を、新しい視点から再解釈してみました。絶体絶命の窮地に追い込まれた帝国軍が、天才ラインハルトの機転により見事な逆転劇を収めた。これが定説であり、長年に渡り、私たちはそのように考えて来ました。ですが、戦略の常道を理解しているラインハルトが、フリーハンドを持ちながら、なぜ奇策に頼ったのか?時間差各個撃破戦法を駆使し
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について解説していきます。前回は、ヤンはなぜラインハルトをあと一歩まで追いつめたのに、同盟政府の停戦命令に従い戦闘を止めたのかについて考察しました。そしてそれは、彼が民主国家が腐敗や堕落によって滅亡するのは、有権者である市民全員の責任であり、それを一部、もしくはたった1人の聖人や英雄に全てを任せて服従する事で、難を逃れようとするのは間違いであると言う考えを抱いていたからであると結論しました。自由惑星同盟は、アムリ
Mr.ShortStoryです。今回も銀河英雄伝説について考察したいと思います。前回はオーベルシュタインについて詳しく述べました。そして彼は、ヴェスターラント熱核攻撃の黙殺とキルヒアイスの死について責任を負わされると言う最大の窮地にあった事を解説しました。本来ならば、ラインハルト始め諸提督達に始末されてもおかしくない筈だったのに、ここでオーベルシュタインは、大貴族相手に共闘していた宰相リヒテンラーデ公をラインハルト暗殺未遂の首謀者に仕立て上げ、先手を打って彼を排除
第4話不敗の魔術師より子供の頃どんな本にも帝国のルドルフは大悪党だ!と書いてあったけど、どうして皇帝にまでなったのかって不思議でさ。父に聞いたことがある。お父様はなんて?「民衆が楽をしたがるせいだと。自分たちの努力で問題を解決せず、どこからか超人なり聖者なりが現れて、全部一人で背負い込んでくれるのを待っていたからだ。そこをルドルフにつけ込まれた。いいか、覚えておくんだ。独裁者は出現させる側により多くの責任がある。積極的に支持しなくても、黙って見ていれば同罪だ。