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王様から暇(いとま)をいただいてから10日程。俺は運気調息を終えた後も、すぐに皇宮へは戻らず市井で過ごしていた。手裏房の面々と、手筈を整えたいことがまだまだある。そこへ、天門に張り付いていたはずのシウルとジホが戻ってきた。「交代に他の子を行かせたんだよ。こいつらも、こっちでいろいろ仕事があるからさ」何事かあったか、と立ち上がった俺に、マンボ姐が、心配しなさんな、と、2人に飯を出してやりながら言った。「天門はあのままだ。ウンともスンとも言わねぇ」ジホが、出されたクッパを熱っ、と言い
いしゃ〜ぁ〜兵舎からの帰り道王宮の庭園に差し掛かったところでイサはタンの舌ったらずな呼び声を聞いたおおチビ助どした?医仙様は?イサは辺りを見回したがそこにいたのはタンの警護についている武閣氏のジュヒとタンがばぁばと慕うチェ尚宮だけだったおふねよ〜〜おあしょびタンは大きく手を振ってイサに答えた公主様と遊んできたのよ今から典医寺に戻るところなのイサ君は?ジュヒが補足してイサに尋ねたえ
激しく熱い一晩だった。はぁはぁと息を乱してウンスはその場に倒れていく。抱き寄せるとヨンは腕の中にウンスを入れた。「ねぇ・・手はふるえてない?」「イムジャはそればかりだな」手を見せてくる。ぎゅと指と指をからませる。「震えていません」「よかったわ」しかし・・一度でもこうして触れてしまえば手を離せなくなるのに。イムジャはこの先・・どうするつもりなのか。そこを聞いてみたい。一つも解決などしてはいないのだ。「天界に・・会いたい人がおられましょう」「そうね・・」むき出しの背中にヨン
心、境界線〔番外編〕①テーブルの上に置かれた小さな箱に、食事が終わりさてそろそろ席を立とうかとヨンの顔を見たウンスは思わず目線を下ろしそれを凝視した。つい先程まで普通に会話をしていた筈の彼は無表情になりコチラを伺っている。実はそれが緊張している時になる顔だと最近になって知ったウンスとしてはここで何か発するべきだろう。そうわかっている、この箱が何なのか。見て直ぐわかるデザインなのだから直ぐ手に取り蓋を開けるべきなのも・・・。「・・・」「・・・開けて欲しい」黙ってしまったウンスに遂に
「待たれよ、護軍」振り返るとイ・セクが、小走りでやって来るのが目に入った。「先程の、もう少し、詳しく、聞かせてくれぬか」文官故に、普段駆ける事などないのだろう。二の句を繋ぐのに、随分と息を整える時が要るらしかった。「医仙は、今どちらに?」「……探しております。元に行かれたのか、高麗内に身を隠しておいでなのか、まだわかっておりませぬ」イ・セクが、俺の言葉に訝し気な目を向けた。互いが視線を外さずに沈黙する。しばらく睨み合った後、イ・セクが声を落として「……護軍」「はい」「某の
聞くとはなしに聞こえて来た診療室の会話医官サラもまた複雑な思いでいたサラのチェ侍医に対する思いは男女の恋慕とは少し違っていたサラが侍医に出会った時にはすでにチェ侍医の心には医仙様しかおらずそれが変わることはないように思えたそれでだろうか?最初から恋の相手として思うことはなかったし恋い慕うと言うよりは先輩医官として敬愛しサラ自身は医学の道に邁進して来たおかげで王宮始まって以来の典医寺の女の医官となり産科の医者としての実力も備えオ・アムのような
学者肌の屋敷の主人は温和な笑顔で現れたそれとは対照的に祖父から三歩下がってついて来た孫娘は俯いたままだったチェ侍医今日は往診日でもないのにお越しいただいたということは縁談のお返事をいただけるのでしょうか?地位も名誉もある人物だがチャン・ビンの叔父だからかもともとこういう性格なのか物腰柔らかくチェ侍医に尋ねたはぁまぁそんなところですチャン様今日はお嬢様とお話をさせていただきたくて・・・チェ侍医はいささか歯切れ悪く答えた
俺とイムジャが腰掛ける真向かいに、意思の強い目をしてスンオクが座っている。その脇には、困ったような笑っているような顔で、娘のソニが立っていた。「あの……お風呂を沸かしてくれてたって?ス…スンオク」スンオクの無言の圧に耐えかねたのか、イムジャが笑みを含んで口を開く。「——はい、奥様。今日にでもお戻りになるだろうと、ウォンスク様からお知らせいただきましたので」ウォンスク……?小さく呟くイムジャの耳元に、コモの名です、と、俺は顔を寄せて囁いた。それを見て、コホン、と咳払いを寄越したスン
そんな毎日が続き、子供達の口も達者になってきた頃、来客があった!李子春(イ・ジャチュン)と娘だ!ヨンは、チュンソクが来ていたので、ウンスが対応した。「医仙様、その節はソンゲを助けてもらい、ありがとうございます。」そう!イ・ソンゲの父親だ!「当然の事です。ところで、ソンゲ君は見つかりましたか?」ニコっと笑う。その美しさに目を奪われながらも「子も作れぬ放蕩息子とは、縁を切りました。関係なき男でございます。」「ふ〜〜ん、親子の縁って、簡単に切れるのね。それとも、跡取
美味しかったわへジャの参鶏湯ますます腕を上げたわよねやっぱりへジャはすごいわタンもお代わりしてたものウンスはお腹いっぱいだからか?多胎妊娠だからか?寝台の上に寝転びながら突き出たお腹をさすりうれしそうに笑った俺はイムジャの味付けが好きだがまあへジャのも悪くはないか?うふふヨンたら褒めても何も出ないわよチェヨンの言葉にまんざらでもなさ気にウンスは答え息子のタンが蹴飛ばした薄い布団をかけ直した夕餉をいっぱい食べてぽんぽ
シンイを観てて、ずっと気になることがあります。それは、ウンスがいつからチェ・ヨンに惹かれたのかということ。前回のブログでもちょろっと触れたんだけど、チェ・ヨンの心の動きはドラマの中でわかるんだけどウンスの心の動きが私にはなかなかわかりにくくて…ウンスにとってチェ・ヨンは自分を攫った憎い男のはずなんですよ。最初は。それがいつから惹かれ始めて、愛するようになっていったのか?チェ・ヨンはいつ頃ウンスへの気持ちを自覚したのか?等々、気になって気になって夜も眠れなくて(笑)なので
チェヨンは仕事を終えるとウンスとタンを連れ屋敷に戻った昼寝の効果かタンは帰った途端愛犬フンと庭を走り回りウンスはその様子を廊下に腰掛けチェヨンの胸を背もたれにしてのんびりと眺めていた少し顔色が悪いが疲れが取れぬのか?チェヨンは心配そうにウンスに尋ねたううんなんだかいろんなこと考えていたら頭が疲れただけよ心配ないわチェヨンはウンスの手に手を重ねて微笑んだ何も案ずることなどないのにイムジャはイムジャの心の赴くまま
迂達赤に稽古をつけた後、自室で身形を整えた俺は康安殿へと向かった。王様に暇を終えた報告と、北へ行く許しをいただく。王様のご様子といえば、このところ御前会議が長引いているらしい。それもそうだろう。元との関わりを今後どうしていくのか、キ皇后はどう出てくるのか……問題は山積みだ。いかさま、王様は宣仁殿(ソニンデン)からまだお戻りではなかった。出直そうと踵を返した俺に、「護軍が来たら会議の場に来るように、とのお言伝でございます」と、内官がうやうやしく言う。俺は己れにしかわからない程度に溜
天界から降りてきた天女が獣を従えていると噂になってしまう。チャン侍医も困った顔をする。「今はまだ・・小さいゆえ・・いいのですが・・トラともなれば大変になりますよ」「それはわかっているんですけど」トラはウンスに甘えるようにすりすりしているのだ。ミルクのかわりとなるものをもらいウンスが飲ませている。ごくごくと。顔をあげた。「あらまぁ」といいウンスが汚れた顔を手拭いでふきふきしている。「にゃん」猫のように鳴く。白い虎の子。どうすればいいのか。チェヨンが様子を見にやってきた。
「大護軍ーーー‼︎」イムジャと件(くだん)の飯屋へ向かう途中で、テマンが俺の姿を認めて走り寄ってきた。「た、大変です!すぐ幕舎へ戻ってくださ……」大慌てでやって来たのが、俺に寄り添うイムジャに気づいて、瞬時に固まる。「——うっ、医仙⁉︎」「——テマンくんっ!」イムジャが、腕を広げて駆け寄ろうとするのを阻止し、俺は手短かに聞いた。「テマナ、見ての通り医仙が戻られた。詳しい話は後だ。チュンソクが来てるのか?何があった?」口を開けたまま、声も出せずに俺とイムジャの顔を交互に見ていたテマ
ウンスは王妃様の元へ行き相談した。「それでしたら・・おねえさま」こちらを・・黒い・それは腕や胸元もすけるようなレースでスカートのようにすそはひろがった。「すみません‥叔母様・・誰にも邪魔をされず・・二人で話ができる場所を教えってください」といいうと叔母さまは驚き目を見開き口を開け閉めしていた。それでもある密室をかりる。そこはうちも・外も鍵がかけられて音ももれない場所だった。「おい」叔母上が俺を呼び出すのはいつものこと。落ち着きない。そわそわしている。「なんだ・・なにか・・
「おやまあ!久方振りに見る顔だねえ!」「よう、マンボ姐。元気にしてたか」相変わらずの派手な衣裳と化粧、そして更にそれらを上回る姦しい様子が、昔馴染みの店にやってきたのだと実感させてくれる。するとその後ろから師叔ものっそりと赤くなった顔を出し「ゆっくりして行けや」と、飲み掛けの盃をひょいと掲げた。店内は繁忙時を過ぎ、客がちらほらと居るものの、それももう暫くすれば立ち去るだろうという雰囲気を醸している。二人の手が空いていると見た俺は、素早く周囲を見渡し声を潜めた。「師叔、マンボ姐。この度
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宣仁殿(ソニンデン)から出ると、コモが、いつもの無愛想に、やや不安を貼り付けた顔で待っていた。「どうであった?無事遣りおおせたか?」俺とイムジャ、そして、先に出て行った左政丞(チャジョンスン)達を、目で追いながらコモが言う。「ああ。無事済んだ」そして、俺が言うのと、イムジャの親指を立てる謎の仕草を見て、はあぁーーー……と、大きく息を吐いた。「良かった。此処に居ても中の様子はわからぬ故……途中、何やらどよめいていたが、何があった?」「あっ…大した事じゃありません。大丈夫です!」「……
時刻は昼過ぎそろそろウンス達が来る頃かとチェヨンは集賢殿の前庭になんとなく佇んでいた前庭には盛りを過ぎたスグク(紫陽花)が咲いているウンスの二度目の妊娠はもともと悪阻も何事もなくいつの間にか初期を乗り切り安定した時期を迎えていたそろそろ元気な胎動を感じお腹の膨らみも目立ち始め順調な妊婦生活を送ってはいたが王妃様の出産が無事終わり気が抜けたのかウンスはこのところ疲れやすくなっていた閨で無理をさせている張本人だという自覚はあるがチェヨンは
お帰りなさいませ旦那様!お客様ですか?ああ…まあ…奥様!奥様!旦那様が戻りました!居間に通されたマンボ兄とムン・チフ。マタニティドレスを来た美しい女人にムン・チフは驚いた。いらっしゃい!マンボさん!それから、ムン・チフさんかしら?顔が怖いわよ?鋭いのはヨンだけではない。寂しくなかったか?とお腹を撫でるヨン。超寂しかった!ずっと一緒に居るって言ったくせに、村長が余計な役目を押し付けてくれちゃって!チュッとする二人に又々、ムン・チフは驚いた。それで?不出来な弟子の
なんじゃこの騒ぎは?母親ウンスが心配で遊びに行かないとむずかるタンを父親チェヨンに託し典医寺でウンスと話をしてからやや遅れてお船のお遊び場に顔を見せたチェ尚宮は面食らった様な顔をして先に会場の警護についていた武閣氏のジュヒに尋ねたはぁ・・・空気が色めきだっておるぞ大妃様と公主様の御前だというに腑抜けの気が充満しておるそれが・・・ジュヒが微笑んだきゃ〜〜きゃ〜〜遊んでいる子供たちの黄色い声に混じり明ら
翌朝、目覚めると、優しい笑顔でヨンが「おはよう、身体は大事ないか?」と口づけた。「うん!大丈夫よ!」と極上の笑顔を向ける。クッ…そのような美しい顔で…抱いてしまいたい!そんな欲と葛藤しながら、着替えると、ヨンはウンスに「お姫様抱っこだ!」とヒョイと抱き上げ朝餉に行く。「ヨン…恥ずかしい」「これだけは、譲れぬ!」ヨンの過保護が始まる。居間に行くと、みんなが、「奥様おめでとうございます」と。双子達は、ヨンにピトッとくっ付く。ウンスを座らせ、双子を抱っこすると、
「な…ん…ちょちょちょっと待ってください!テホグン!待ってくださいってば!」抜き身の鬼剣の先はヒョンウの首筋に添い、それを見たトクマンが盃を放り投げて止めに入る。その時既に、チュンソクは俺の利き手を両手で固め、テマンは俺の腰を抱き込み後ろへと引き、チョモに至っては捨て身で俺とヒョンウの間に飛び込んでいた。「今お前は、ユ・ウンスと言ったな。それは、見た事のない医術を施す、明るい色の髪を持った女人のことか」「イェ」微動だにせず、辛うじてそう言ったヒョンウのこめかみから冷や汗が流れるのを見て
ヨンは叔母さんに怒られた。「この・・ばかたれ」後先考えずに行動するからだ。「だから・・ウンスにも責任はとると」「そのことはもういい・・仕事をしろ」ふぬけ。「ふぬけ・・・」「同居人に思いをよせているんだろう」「想いを?」そんなことは考えたことがなかったという。叔母さんがヨンの背中をばしと叩く。「しゃきとしないか」それは執着というものだ。と言われて驚きその場に固まっている。あきれてやれやれと頭をふっていた。はめられたハッカーも手をかしていた。犯人探しに本気になっている。
懐妊がわかったチュンソク夫婦に今後の事を話した。「安定期と言われる5ヶ月くらいまで、ウォルは、走ったり、重い物を持ったりしては、駄目よ。」「チュンソクさんは、夜の営みを我慢してね。」と言った後、そう言えば私は、気づくの遅くて、ヨンとガンガンやってたわ。クスッ気づいてからは注意したけど。チュンソクは「わかりました!大将軍もそうだったのですね?」ヨンは、「どうであっただろう?確かウンスが…」と言った時、口を塞がれた。ウンスは赤くなりながら「そう!そうよ!大事にす
アン・ジェは、親に縁談を断るよう頼んだ!「こんな良縁を断るのか?」「あの娘は、子を産めぬそうだ!跡取りはいらぬのか?」「なんと!それを隠して縁談を申し込んで来たのか?」「ああ、俺の前にヨンの側室になりたいと崔家に行ったらしい!そこで、医仙様が病を見つけた!」「我が家を馬鹿にしておるな!直ぐに断る。」アン・ジェも断りを入れた。李子春がやって来て、「良縁だと思いますがのお」「はあ?ヨンの側室になりたいと行った後、すぐに鞍替えですか?娘さんが子を産めぬ身体と聞きまし
体温はあ・・重い溜息が綺麗な唇から溢れる。屋敷の庭の桜の蕾が綻ぶ様子を眺めながら息を吐きまだ冷たい春の風から身を守るように自分で自分を抱く。ーー冬が終わる頃には帰ります。そう告げ夫は戦へと赴いた。・・新妻を残して。「雪も溶けたし桜も咲いたわ。まだ・・帰ってこない気?これ以上待たせたら出て行っちゃうから。」強がる口ぶりとは裏腹にウンスの顔は泣きそうだ。澄んだ青空に桜の花が揺れる。青とピンクのコントラストが涙が出るくらい綺麗。見上げるウンスの瞳からつーっと雫がひ
どれくらい経ったのかしら。多分、30分も経ってなかったんだろうけど。落ち着かない、落ち着いてください、を繰り返し、最終立ち上がってウロウロしだした私に、叔母様はもう、心配を通り越して呆れ顔になっていた。と、そこへ部屋の外から声がかかった。「医仙様、王様がお呼びです。宣仁殿(ソニンデン)へお越しください」——やっと呼ばれた!!!!!「はいぃっ!」上擦った声で答えるも……私は急に不安に襲われて、この場で唯一の味方を顧みた。「……呼ばれました。叔母様」「はい。では参りましょう」「ど