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「酔ってたんだと思うんだ」絡んで来る長い脚から逃げようにもしっかりと抱き締められているからそう簡単にはどうにもならない僕は、それでも何とかしようとギイの腕の中でもがいている。それから、おはようもまだなのに言い訳もしている。「鬱陶しいくらいに愛してって言ったのは託生だろ?」嬉しそうな声が鼓膜を震わせて、それからそのまま耳元にキスをされる。わざと音を立てて。「だからそれは酔ってたからで、」「酔ってた?あんなになっておいて?」「だっ、だからそれはっ!お酒と・・・ギイと?」「オレと?・
「こんな所で何をしてるの?」「何って、」「仕事・・の割には随分とラフな格好だけど」「これは、その」「まぁいいや、今少し時間ある?」「・・・あぁ」「良かった。ちょっとこっち、」手を引かれた先には件の男。託生はこの場でオレへ三行半を突き付けるつもりなのだ。それを受け入れるべきか突っ撥ねるべきか。そう簡単に気持ちに整理は付けられない。「これ、どう思う?」「どうって、」「買い換えようと思ってさ、テーブル。そうすると椅子も一緒の方が良いのかなぁって。一人じゃ決められないから困って
「来るなら来るで教えてくれれば良かったのに」助手席に乗り込む託生は何度目かの呟き。「ギイのサプライズはいつも本当にサプライズすぎて心臓に悪いよ」「そう言うなよ。オレはいつだって託生の喜ぶ顔が見たいだけなんだからさ」「それは・・まぁ、そうだろうけど」「で?この後はどこに?」「えーと、じゃあいつものスーパー。一週間分の食料を調達しておかないと、今ある分だと足りないから」「りょーかい。ところでさっきの鏑木くんだけど、口説かれたりしてないよな?」「は?僕が鏑木さんに?あるはずないだろう、
「ダメだよ・・・住む世界が違う・・・」「なぜ?」「許されない」だって・・・君は優秀なアルファで僕は無能なオメガだから・・・君には相応しくないんだよ。「誰の許しも要らない!タクミがイエスと言ってくれさえすればいいんだ」「ギイ・・・」「タクミだけでいいんだ・・他の誰も要らないんだ!」「ギイ・・・・・・」「他の誰かじゃ埋められない・・・タクミ以外はダメなんだ」強く懇願された。こんな僕を・・・こんなに欲っしてくれた人は・・・いなかった。差し伸べられた手を取ることは容易いけれ