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昨夜のうちに降り積もった雪が高麗の都を白く染めたテマンは桶に汲んだ冷水で顔をバシャバシャ洗うと気合いを入れるように両手で頬をパンパンと叩いたまだ薄暗い中ヘジャが起きて来てテマンが既に身支度を済ませていることに驚いた朝餉の準備はこれからなんですよいいよ兵舎で食うからヘジャさん昨日はありがとうテマンは顔を拭きながら呟いたいえヘジャは何もテマンさんすきっとしたお顔つきですねぇそうかな?オレヘミさんに会って来る会って非礼を詫びなくちゃだからもう行く
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△蝶が舞う頃に⑤テマンはわかっている。隊長の眼差しが以前とは違う事に。天門での出来事で隊長に対しあの天の女人は怒っていた。だけど、隊長に一つ罰を与えただけで後は許してくれた様だ。本気で殺す勢いだったら、隊長の腹等治さなかっただろう。その後、隊長は天の女人を助ける為に傷も完治していないのに追い掛けた。その時に何となくだが、テマンには隊長はこれからも王宮に残るのではないか?何時も遠くを眺め、何処かに行こうとしていた隊長があの天人を守っていくのではな
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中の二人”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。蝶が舞う頃に◆〔1〕宮殿に帰って来た頃にはうっすらと空も明るくなり、少しの寒さに眠気も覚めてしまい、二人は歩きながらキチョルに対して次の対策を話し合っていたのだが――。「わかったわ。もう逃げるのは止めたわ」「はい、良い判断です」「彼奴らとどう対抗出来るかよく考えなくては・・・」「っ、そうでは無く。宮殿内にいて下さいと――」暫くしてヨンとウンス
チェヨンが戦に出立してからすでに数日の時が流れていた都は嵐の爪痕が残り大木がなぎ倒されたり屋根が飛んだ家屋があったりそれでも甚大な被害には見舞われずに済み民は日々の暮らしを取り戻しつつあるタンは発疹もすっかり綺麗になりウンスと一緒に典医寺に通う日常が戻っていたただ戦の動向が不透明でチェ尚宮が都の屋敷に帰ることを心配してウンスたち親子は王宮の邸に留め置かれたままだったそして産後の肥立ちが順調なポムもまたもうすぐチェヨンの跡を追い出兵するチュンソクが
高麗は朝から冷え込み王宮にも寒花がちらほら舞っていた今朝も冷えたわね坤成殿の帰りに育児室のタンの様子を見に来たウンスはタンの警護に就いているジュヒと乳母のヒョンジュに言ったそうでございますね朝から雪まじりなかなか暖かくなりませんね育児室の奥で生まれたばかりの赤ん坊をあやしているヒョンジュの声が聞こえ元気な泣き声も聞こえたヒョンジュが見ているのは昨日の赤ん坊?はい医仙様ウンスが赤ん坊の状態を診
イトシイイトシイイウココロ㉜数日経って。少し前の宮殿内の騒がしさも無くなり、色々憶測の無い噂話も落ち着いていた。だが、隊長の想い人は一体誰だったのか?市井まで下りていた理由ははたして妓楼に通っていたからなのか?そんな疑問は残っていたが、女人ものの手巾を触るヨンの姿をすっかり見なくなっていた為に、その真相さえわからずじまいで噂さえも消えそうになっている。宮殿内の囁かな楽しみでもあったそんな噂話を残念がる女官達は、本人に聞けないのなら別な人達から聞いてみようか?そんな思惑を含ませながら彼
ここからは、原作と少し違う展開になります。原作が好きという方は違和感を感じるかもしれません。それでも良いよという方はお進み下さいませね(*´`)△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△君に降る華(17)「それでも今動かすのは・・・」「一つの場所に長居する方が、王様達を危険に晒してしまうのです」「そんな・・・」王妃は目覚めたばかりで、意識も朦朧としている。出血したのだから当たり前だ、このまま動かせばまた具合が悪くなってしまう。ウンスはそうチャン侍医に話したが、彼は困った顔でそ
宮廷内の庭を解放した春の祝宴会は宴もたけなわ。簡易の記者会見が終わると和やかな宴会に変わり国の要人達はシンとチェギョン夫妻に挨拶をと列が出来た。誰が見ても火を見るより明らかな歓待ぶりである。記者たちも誰が何番目に挨拶したと事細かに筆記していた。かつては孝烈皇太子の友人としてファヨンに手を貸していた記者もいた。皇室の信用を失墜させる事に加担した記者は国外へ逃亡を図る直前にシンに呼び出された。記者としての業界の信頼を無にし立場を追い、この国で一切の仕事が出来ないようにする事は造作もないが報
元旦をチェヨンやタンと王宮で迎えるたウンスは王家の年賀の儀の片隅に参列した厳かに儀式は執り行われ王様王妃様王族が一堂に会し高麗の安寧に祈りを捧げるその中には王の母である大妃(デビ)様の姿もあったきりっとした顔つきは王様によく似ていたが世捨て人のように政はもちろん王宮の自分の館からめったにお出になることもないお方だ王族の女人の健康管理は基本ウンスの担当だが天界人だからか好ましく思っていないのかチェ侍医が指名され時折様子伺いに行っていたご高齢の
ねえほんとに?ウンスは信じられないようにチェ侍医を見つめたチェ侍医が頷くねえ?サラもそう思う?はい医仙様ウンスは困惑したように頬を桜色に染めている朝の典医寺はまだ人影もまばらでイサとオ・アムが先発隊について旅立った後なので余計に閑散としていたチェヨンの命でウンスに一緒に着いてきたテマンは一刻も早く飛び出したくてうずうずしているおおおオレオレもう行ってもいいですか?上護軍が待っている!早く行ってあげなきゃああそうだな行きなさい
真っ逆さまに落ちるタン悲鳴を上げたのはその場にいた薬員だった武閣氏の二人も固まったまま動けないぼふっと言う音が聞こえたすぐさま駆け出したチェヨンの腕の中でタンはきょとんとした顔よん?タン危ないではないかやんちゃが過ぎるぞあうあうあタンはヨンの腕の中でジタバタするとウンスに手を伸ばすイムジャ此処は兵舎タンを連れてきてはならぬ周りにも迷惑がかかるうんごめんなさいみんなも驚かせてごめんなさいねウンスはしょんぼりと答えそれから気持ちを切り
永久機関と君と③あれから私は民族博物館などには近付かない様にしている。きっと、あれから自分の調子が悪くなったのだ。元々小さい頃から苦手だったのだから今更克服しようとも思っていない。アン先輩とは彼が大学を卒業してから一度も会う事は無く、自分もくだらない事に時間を費やしたとばかりに研究に没頭した。少なからず先輩との噂が広まり同期達の話のネタにもなったが、反論する気もその女性達と喧嘩する気も湧かなかった。「内定は貰っているのだから、私はもう大丈夫。望んだ将来へと進んでいる」自分に言い聞か
△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△「・・・途中で雪が降る事も無いだろう」雲一つ無い青い空に安堵しヨンは雪原に向かっていた。積もった雪は固まり、踏み進める度に強く踏み込む為着く迄に少しの時間を要してしまう。それでも風も無く、思い切り深呼吸すると肺に入る冷たい空気はとても気持ちが良かった。これでより集中出来ると鬼剣を持ち直し、遠くを見ながら歩き出す。――あの女人の正体を暴いてやる。何処から来たのか、場合によっては尋問する事にもなるだろう。・・・奇妙な服は考えがあり、自分を欺く
奥の間は独特なチョングッチャンの匂いが立ち込めたタンは匙を口に運ぼうとせずしかめっ面で目の前にある器の液体を眺めている好き嫌いせずに食べてごらん匂いは強烈だけど栄養はたくさんだからね?タンや〜〜よ〜〜ソンオクが遺したチョングッチャンで作った夕餉発酵した大豆が出汁で煮込まれコクのある味に仕上がっているがウンスがいくら口にねじ込もうとしてもうまい具合に顔をよけてタンは口を開けようとしないいつもならこんな時はチェヨンがタンに食
※こちらは、序奏と①~④の下にあったお話でした。次話がアップされると消えていたものでしたので、まだ読んでいなかった方はあの話の時の続きだったのかと思って下さると嬉しいです。蝶が舞う頃に㉖〔おまけ〕序奏【ヨン】――暗闇の中、見えない蝶が舞っている。湿った部屋の中、鼻を掠めるのは嗅ぎ慣れた土や草の匂い。そして知らない花の香り。女人が動く度に、自分の周りに蝶が舞う様に香りが漂っている。「――・・・抱かせてくれないか?」躊躇しながらも手探りで手を伸ばすと、触れた女人の手がビクリ
イトシイイトシイイウココロ㉝ん?ウンスが典医寺から出ると、ポツリポツリと雨が降り始めていた。「あらら雨?」薬草園に干し敷いた薬草を思い出しチャン侍医に教えようとして、はたと足を止めた。確か今は王様の往診に行っていた筈。しまったと思ったが普段の彼らの動きを思い出し、ウンスは薬草園に戻ると茣蓙(ござ)に干した薬草を籠に戻し始め、薬草特有の青臭さと湿った雨の匂いを嗅ぎウンスは大学時代の研修期間を思い出した。既に化学薬品しか無い時代だったが、時々研修では薬草から細胞を採取してもいた。時々
ウンスを見送り執務室に戻ったチェヨンをパク・インギュが待ち構えていた先ほどの男随分とあざといようでなんだもう調べたのか?はい都の下級役人に取り立てられて都に戻ったので身元の追跡は容易でしたで?面白いことがわかりました豪商チャン・デホの前妻と親戚なのは間違いなくチャン・デホの財力のおかげで両班の族譜を買ったのか?地方の役職にありついた次第だが今はチャン・デホの庇護を受けてはおるまいはいそこが奴の立ち回りのうまいところで年頃の娘を名ばかりの養女に迎
※韓国ドラマ「ドリームハイ」の最終回後の設定です。※最終回のネタバレ含みます。完全に妄想小説ですが、それでも良い方のみどうぞ~満員御礼のコンサート会場に、拍手が鳴り響く。この音は、海の向こうにも届いているのだろうか…。今日はヘミにとって100回目のコンサートだった。アンコールも含めて十数曲を歌いきり、拍手と歓声の余韻に浸りながらヘミは舞台袖に戻った。そこには昔馴染みの顔が。お世話になった先生方。かつては一緒にデビューし、切磋琢磨した「ドリームハイ」のメンバーたち。皆が花束と笑顔
永久機関と君と②暗い部屋の中でウンスは目を覚ました。ハッとして辺りを見回し、自分の部屋だと理解するが無意識に床に何か散らばっていないか確認してしまう。当たり前の事だが、部屋の中には瓦礫も血塗れの身体の一部も落ちてはいなかった。「・・・またあの夢だわ」はぁ、と汗が滲んだ額を拭く。あの時確かに頭上から男性が手を伸ばして自分の名前を呼んでいた筈なのに、気付いたらウンスは江華島の病院に運ばれていた。後遺症が心配だからと執拗く実家に帰らそうとする両親を説得し、三日程入院した後何時もの生活に戻
勢いで書いておりますので違和感を感じてもスルーして頂けると嬉しいです(汗)✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣✣シンイ小説②佳人(カジン)(3)もしかしてこれも運命云々と関係があるのかと思った。伸ばした手が動かせない目の前にいる落とした薬材を微笑みながら渡す男から目が離せなかった。だって・・・「せ、先輩・・・?」目の前にいる人は3年間好きだったあの人によく似ていた。「・・・あの?」かけられた声でハッとなり慌てて薬材を受け取る。「あ、ありがとうござい
※ここからは、原作とは少し違う展開になります。原作が好きという方は、違和感を感じてしまうかもしれません。それでも良いよという方はお進み下さいませ(*´`)△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△君に降る華(13)これは最初から仕組まれた事だとわかっていた。だが、刺客が王妃の目の前に立った時皆がまさかと頭を過ったのも事実だ。狙うなら高麗の王の方だろう、なのに魏王の娘を狙うとは――。この刺客達は元の者では無いのか?高麗だとして自国を滅ぼす様な事をするなどとは――。刺客が斜めに振り下
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“蝶が舞う~の中の二人”ですので、そのつもりで読んで頂けるとありがたいです。蝶が舞う頃に㉔――はぁ。気付くと無意識にため息が出てしまう。ウンスは眉間に少しの皺を寄せ、ヨンの左手に布を巻いていた。診療所にある様な綺麗な物でも無く、巻いた傍から薄く血が滲み始めてもいて、それを見て喉まで来る意味の無い言葉を吐き出しそうになり強く口を閉じた。――・・・どうして、私は何時もこうなのかしら。自ら進んで助けたいと思う行動は、こと如く避けら
王宮から都の屋敷に帰るチェ家の三人を見送ってジュヒとコハクも家路についた二人暮らしもあとわずかドルベを失いコハクを生んでから寄り添うように暮らして来た二人きりの日々その時間のすべてがジュヒには愛しく思えた生まれ故郷の田舎の漁村で食べることにも事欠きながらただただ必死に生きてコハクの成長を願って暮らしたそしてチュンソク隊長に呼び戻され再び始めた都の暮らし育児園の手伝いもそして典医寺の日々も幸せだったとジュヒは思うねえコハクお祖父様やお祖母様との
高麗の都を吹雪が襲ったその数日後都はまだ厳しい寒さの中にあったナレは今朝も育児園にいてぼんやりと考え事お父様はいつもそう身勝手で家族の気持ちなど考える人じゃないあたしが屋敷を出てキンス姉様の所へ身を寄せたのだって田舎暮らしがいやだからだと都合のいいように思っているお父様は本当にひどい人の気持ちはお金や地位じゃ計れないってことぐらいこの育児園の子供達だって知ってるわここ数日あの方の姿が見えないのはきっとお父様にあきれてあたしと顔を合わせたく
▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽▽鈴の鳴る方へ(20)小さい頃は、道場で剣術や武術を学ぶのが楽しくて毎日の様に通っていた。「師匠みたくなりたいなぁ」「ヨンなら直ぐ追い付けるよ」道場の皆は、ヨンは武術の才能がある、何時かはこの道場の師範にもなれるだろうとも言っていた。きっとこの名前も彼には合っていたのだと。「この道場で師範か。・・・格好いいな」「私もいるから、まだまだ道場も終わらないと思うから」ヨンの得意気な笑顔にメヒも嬉しそうに隣りで話をし、ヨンは師範かぁとまた呟きそんな響きに浮かれに
パク・インギュは馬で山道を駆け上がったその先に見える荘厳な寺チェ家の菩提寺でもありパク家の菩提寺でもある何年か前に母親が病に罹りいつも穏やかな人がひどく苦しんでもうだめかと思ったインギュにしてあげられることは祈るだけ平癒の祈願に来た本堂金色の御仏の前でひたすら祈った幸い母親は医仙である天界の医員ウンスに助けられそれが縁でポムはウンスにたいそう憧れて念願のウンスの武閣氏になったそんなことも思い出すあの日は本堂にもう一組手を合わせる母娘がいたそう
※少し原作やドラマに被る部分がありますが、あくまでもこの話は“空想的幸福論の二人”ですのでそのつもりで読んで頂けるとありがたいです✨。空想的幸福論[まとめ・後]長いのでお暇な時にでもどうぞ(^ω^)_凵2人のベッドシーン、描写は省きました。[2023.02.28]朝まだ日が昇る前に二人は目を覚ました。「夢の中でまた寝れるのだな・・・ふむ」「どこに感心しているの?チェヨンさん・・・」男性を自分のベッドに招き入れるなど人生で初めてで、ウンスに覆い被さって来るチェヨンに激しく動揺し、暫
あいしゅくりんちょーだい駄目よタンまだ夕餉の途中でしょうあいしゅくりん母親の落とし所を見つけるかのようにタンは目をぱちくりしながらつぶらな瞳でウンスを見ただめ〜〜だめったらだ〜〜めタンなんでもわがままを聞いてもらえると思ったら大間違いよご飯が終わってからって約束したでしょう?ウンスは厳しい顔をしてタンに言い聞かせた新婚の頃に見よう見まねでチェヨンが宿屋に作らせたアイスクリームが懐かしくてウンスは手
昼を少し過ぎた頃ウンスはタンを連れ集賢殿に向かった厨房で生薬を煎じるとむせ返るような匂いがしてさすがのタンもウンスのそばに近寄ろうとせず少し離れた所で口をへの字におんまぁ〜おんまぁ〜とウンスを呼んでいるタンお待たせ出来たわよげげ苦い!苦手な煎じ薬を久しぶりに少し口にしてふふっと思い出し笑い以前徳興君の毒に倒れたときはわがまま言ったウンスにチェヨン自ら薬を飲ませてくれたものだった新婚の頃は口移しもして
※ここからは、原作と少し違う展開になります。原作が好きという方は違和感を感じるかもしれません。それでも良いよという方はお進み下さいませね(*´`)△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△△君に降る華(19)宣仁殿に入った王様と王妃の後ろからヨン達も続くと中ではチェ尚宮と武閣氏達、全てでは無かったが女官と内官等が王様を出迎えていた。だが、見ると先程兵隊等が話した様に重臣達が一人もいない。ヨンの眉が顰められ、そんなヨンをちらりと見たチェ尚宮だったが表情を変えず王様達に恭しく頭を垂れ待って