山

「潤くんのような明るくて、仕事もできる人が来てくれて本当によかった。僕じゃ、ろくに役にも立たなかったから。櫻井さんのこと大事にしてあげて。二人なら、きっとうまくいくよ。」真剣な瞳だった。本当に俺たちの、いや、櫻井の幸せを願っている・・・大野に、櫻井を諦められないから返せと言われると思っていた自分が恥ずかしかった。「大野さん、貴方は翔さんのこと・・」「櫻井さんは僕のことを恨んでいる。いや、憎んでいるはず・・・・でも・・

もっていたトレイがガチャガチャと揺れる。俺は、抱いた腕を片方離して、大野の部屋のドアを開けた。すぐ横にあるベッドの上にトレイをおくと、大野を部屋に引き入れた。ドアを後ろ手に閉めると、大野は驚いたように顔を上げた。「大野さん、俺・・俺、あんたを見ていられない。ねぁ、あの事故の後、何があったの？俺が知っているのは、翔さんがあんたをかばって怪我をした。そして、原因がわからないけど、今は歩けないっていう事実。でもさ、だからってあんたが、翔さんからこんな

コンコン、コンコン。何度も、寝室の廊下に面したドアがノックされる。ここを叩くのは、雪子さんだけ。「はい。」答えてから、鍵を開ける。やはり雪子さんだった。いつもの優しい顔じゃない。「翔さん」俺の名前を呼び声が怒っている。「智さんが出ていきました、さっき。潤さんが引き留めに行ってくれましたけど、帰らないと思います。翔さん、智さんが何度もつらい思いをしたのを知っていますよね。もう、もういいでしょう。幸せになってもいいでし

切れなくて、長くなっています。ついに言ってしまった。結局一睡もできなかった。いつかは来ることがわかっていた日。いや、自分で最初から決めて始めたこと。ただ、智くんを守りたくて、俺にできることはこれしかないと。1年間、俺の厳しい叱責にも、一言の不満も反論も言わず、黙って仕事をしてきた貴方。昔から勉強も数字も得意じゃない貴方に俺の仕事は難しくて、大変だっただろう。大好きな絵を描く暇も与えず、俺と一緒に仕事三昧の日々だ

翔くんのもとで仕事を手伝うことになった日から１年が過ぎた。勉強が嫌いで絵ばかり描いていた僕にとって、翔くんの仕事は、わからないことばかりだった。助手になるなんて偉そうなこと言ったくせに、こんなことも出来ないのかと、氷のような視線で、翔くんに言われるのが辛くて、悲しくて、一人部屋で泣いた。でも、絶対に翔君の前では泣かないって決めていた。僕のせいで翔くんの輝かしい未来が奪われたのだから、自分の力でどん底から這い上がろうとしている翔くんのために僕がで

命を絶つ？自ら・・・そんな思い切ったことをあのふわっとした大野が・・。「智さんて、小さいころから辛いことをたくさん経験したからか、自分の存在に疑問というか、不安があるみたいで。いつも、自分に否定的で。翔さんが自分をかばって怪我をした。社長賞を貰うほど、有能な商社マンだった翔さん。研究者であるご両親と、進んだ道は違うけど、ご自慢の息子。これから輝かしい未来が待っていたはずだったそれを自分が壊した。ショックだったのでしょうね。自分だけが、平気

「翔くん、翔くん・・」俺を呼ぶ懐かしい声。目を開けると、俺を覗き込む泣きそうな智くんの顔。あっと声が出そうになるのを、こらえたら無表情になった。心配して来てくれたことが嬉しくて、涙が出そうで、余計に智くんを見ることができない。「よかった。」そんな俺に気が付かないほど、今度は真剣に怪我がないか、あちこち見回す。「どこも怪我ないみたい、本当によかった。」安心したのだろう、当然のことだが、今度は、どうして車椅子が倒れ

エレメンタルオラクルカードからのメッセージ『明晰さ』～山～物事を俯瞰で見ることには利点があります。近すぎると明確に見ることができない時もあるからです。全体像を見ましょう。より純粋により高い視点から見ることで私たちの悩みは取るに足らないものに感じたり大袈裟に考えていたことがそれほど大したものではないことに気づくのかもしれません。シンプルで明快な見方をしましょう。何かに行き詰まったり思うように物事が進まない時は思い切って今の考え方とは全

続きも書かないで、映画にいってました。ニノのを見ようと思っていたのですが、どうしても、共演者の方がNGで・・プレデターにしました。（全然系統が違う～）と雑談は、ここまでにして・・＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾＾ビクッと肩が震えて、大野の動きが止まった。まるで、ぬかるみに足をとられて、抜け出せないみたいだ。握りしめた指で、体には力が入っていると分かる。「翔さんの気持ちを考えたことある？大野さん。あの

泣き疲れて涙も枯れて、俺は、放心したようにソファにもたれてじっと、車椅子を見つめていた。どうして、あの日あんなことになったのか？今更言っても仕方ないけれど、神様がいるなら恨みたい。突然ノックもなく、ドアが開けられた。入ってきたのは潤とあなた。腫れた俺の顔を見て一瞬躊躇する潤。あなたは心配そうに俺に問いかけるけれど、何か答えたらすべてを口に出してしまいそうで、聞こえないふりをした。そんな不貞腐れたような俺を潤は真っ直ぐに見つめながら話し始め

俺は、転びそうな勢いで階段を駆け下りた。「雪子さん、雪子さん」この時間は朝食の準備をしているはずの雪子さんを探して、キッチンに入る。しかし、姿が見えない。何処？はっと思い当たって、玄関に回り、ドアを開けると、エプロンで顔を覆った雪子さんがしゃがみこんでいた。「雪子さん、大丈夫？大野さんは、大野さんを見たの？」俺は雪子さんの肩に手を回してゆっくりと立たせながら聞いた。「今、出ていきました。止めたのに。潤さん、智さんを止めてください

自分の指が柔らかなものに触れる感触。大好きな匂い。智君・・・言わなくちゃ。これが最後だ。自分の考えが正しいって思いこんでいた俺。頭で理解しないと、筋道通さないと納得できなくて・・石頭だった。人の感情はそんなに簡単には割り切れないってやっとわかった。自分で苦しんでみて、初めて。「さ、さと・・し君。」「あ、しょ、翔君。気がついたの？よかった、本当によかった。あ、ああ、ご、ごめん、ごめんなさい。」智君は、嬉しそうに、

桜川市ちょっとそこまでと出て来ました最後に古墳通りすがりの古墳いや、帰り道の古墳大岡古墳を見ていますこれかなこんもりしているわ古墳の上に祠がありますどこまでが古墳か・・・上ってみます下から見た祠があるわ正面に山がくっきり見えている田んぼが広がる山も緑が濃くなってきています

翔くんの日記？だよね。ここに、翔くんの部屋にあるんだ。他の人のじゃないよね。なに一つ変わってない、昔のままの部屋。なのに、埃もなく、窓を開けて換気までされている。主がいないのに・・・そして、新しい日付の日記帳・・・机に入っていた僕の写真。１年前の夏、最初で最後の二人でのドライブ。嬉しさと緊張で笑った顔が少し硬い。幸せだった昔のままの部屋・・そこにある僕の写真そして、書きかけらしい日記・・これって・・・もしか

「智さん、退院おめでとうございます。親切な方が後ろにいてよかったですね。犯人も警察がちゃんと捕まえてくれて。」雪子さんが大野の前に皿を置く。「これ、僕の好きなクリームシチュー。雪子さん、ありがとう。」大野が嬉しそうに皿を見つめて、雪子さんに礼をいう。「いつまでも暑かったのに、智さんが入院していた一月余りの間にすっかり秋になって、シチューがおいしい季節になりました。ケーキも秋らしくモンブランにしました。どうぞ。」雪子さんが俺

嘘だと思った。翔君が、僕の頬にぞっと触れながら、囁くように話しかけている。この1年間、聞くこともなかった、優しい声。大好き？昔から？翔君も僕と同じ気持ちだったなんて、信じられない。嬉しいのに、涙がこぼれてくる。僕は翔君のそばにいてもいいんだね。下げていた腕を僕は翔君に伸ばそうとした。今ならその手を取ってもいいんだよね。しかし、僕のその期待は僕が何も答えないうちに粉々に砕かれた。「智君、ありがとう。潤と幸せになって・・」翔君

本日2話です。この前にnegai58あげてます。「やっ、離して・・」体を捻って俺の唇から逃れようとする大野をベッド横の壁際に追い込んで、押さえつけた。俺はこんなにも大野が欲しかったんだ。この胸に抱きしめて、離したくない。俺の想いと裏腹に大野は、頭を振ったり、体ひねって逃れようとする。そのたびに壁にぶつかってドンドンと音を立てた。「潤くん、止めて。僕なんかと、関わっても何もいいことはないよ。明日僕はここを出るから、そうしたら

「父さん、僕に考えがある」その考えを説明すると父さんはわかったというように頷いた後俺の手を取った。「翔、君にとって、彼はたった一人の大事な存在なのだろう。その彼に憎まれ、嫌われることは耐え難い辛さだ。それでいいのか？」「いいんだ・・あの人が立ち直ってくれれば、この世から消えてしまうよりも1000倍もいい。俺にはもう智くんを守れないから・・自分で、生きていけるようになってほしいんだ。それが望みだよ」「翔・・決心したのだね・・。」「はい。

こんにちは！木蓮です。M&Mさんのコラム『ひねくれもののフランス人』を公開しました。よかったら、読んでみてくださいね！http://crestdesign.shop-pro.jp/blog/さて、今日からしばらく、この夏最大の想い出だったエギュイ・デュ・ミディのお話を書かせてください。しばらく、山の景色ばかりが続きますがすみません！！エギュイ・デュ・ミディは、この写真に写る右側の尖った部分。あっ！もちろん、へたれの私が自力で登るとは思わないでくださいね。

１９ぱっと、反射的に体が動き、受話器をとっていた。「はい、大野陶房です。」「あ、翔？僕だよ。ごめん、遅くなっちゃった。駅がすごいことになっていて、やっとタクシーに乗れたところ。そっちは雨大丈夫だった？」車の音が微かに聞こえる。よかった、帰ることができそうなんだ。「こっちは、そうでもなかったよ。横浜は大変だったみたいだね。ニュースで見たよ。まって、今先生に代わるから。」横で待つ先生に受話器を渡す。「おお、智。大丈夫だったか。大

昨日、いきなり始めちゃいましたが、３周年の記念のお話です。つみむゆちゃんとコラボしてます。つみむゆちゃんのイラスト素敵でしょ！つむみゆちゃんのお部屋はここですよ～「翔さん、例の病院からクリスマスパーティの招待状が届いているけど」「そうだな、開院セレモニーには行けなかったから、顔出したほうがいいかもな」朝の食卓、熱くて飲めないコーンスープを、ふうふうしながら、格闘する僕の前で二人が、綺麗な雪の結晶の模様が付いた真っ白な封筒を手に取ってい

「智君かい？久しぶりだね。元気にしているかな？」その電話は本当に久しぶりに掛ってきた。相手は父さんの親友で今度、和が務めることになった弁護士事務所所長の長野さんだった。「智君、実は相談があってね。」長野さんの相談は、僕にとっては、辛いものだった。でも、これは受け入れなくてはならないもの。多分、長野さんが僕のために決めたことなのだろうと、思った。その日が刻々と近づいてくるのに和は何も言わない。きっと言えないんだってわかる。引きこもって

以前書いた短編「コリオグラファー」の続編的な物になります。前のお話を知らなくても大丈夫ですが、二人のなれそめなのでよろしければ先にどうぞ。二人とも実際より少し若めの設定となってます。「コリオグラファー1」『コリオグラファー1』翔さんハピバ企画の短編です。BL的描写があります。気を付けてご訪問ください。♪*:･’ﾟ♭.:*･♪’ﾟ｡.*#:･’ﾟ.:*「は～・・・。」楽屋の…ameblo.jp♪*:･’ﾟ♭.:*･♪’ﾟ｡.*#:･’ﾟ.:*「翔・・・

みなさんこんにちは。今回のブログは久しぶりにお店の紹介ブログです。去年１０月に開催した「スイーツハンター」の景品のスイーツとしても利用させていただいた御嵩町にある「プロヴァンス」さんです。ちなみにスイーツハンターの時の景品はプロヴァンスさんの「カヌレ」です。僕にとっての絶対的権力者である姉がカヌレ大好きで、カヌレは献上品として活用させていただいているのですがたまに買うので、我が家の上の娘も好きです。まだプロヴァンスのカヌレは献上したことがないので買わなければ・・

新年なので、ちょっと甘い（コメディ？）話で・・・１「はあ～。終わったぁ～。」俺は、大きく腕を伸ばし、首を曲げて肩をほぐす。12月３０日２１時００分大晦日まであと３時間。年明け納期の仕事がようやく終わった。「大野君、お疲れさん。悪かったな、担当の岡田君の代わりを頼んで。」所長も同じように大きく伸びをしてから、俺に頭を下げた。「あ、気にしないでください。俺は、帰省もしないし、子供もいないから。」俺の実家は同じ都内にある。帰るにしても電

山登りが大好きな佐堀さん、今度は富士山に行ってきたようです。仕事が終わってから一時間だけ睡眠をとり、夜中に車を飛ばして富士山へと向かい、一般的には五合目から登るらしいのですが、それではつまらないからと一合目から８時間かけて登頂したそうです。恐ろしい体力です。引き続き今回も、液タブ（液晶ペンタブレット）にてデジタルで描いております。だいぶ扱いが分かって来て、紙に描くのとそれほど変わらない感じになってまいりました。まだまだですが、慣れてしまえば相当に便利そうですね…。

ギィ、バタン。ドタドタドタ。パチッ。ドスン。「はぁはぁ～。ギリ、セーフ。」俺は、テレビのスイッチを入れると、鞄を投げ出し、床に座り込んだ。テレビから迷宮ラブソングのカラオケが流れだす。う～ん、ワクワクする。「お嬢様の目は節穴ですか？その大きな目は付けまつげをつけるためにあるのですか？まぁ、つけてもかわりませんから無駄です。」「か、影山～。人を馬鹿にしてく、首よ～。首。首・・」最後にある謎とき前の決め台詞。かっこいい～。美人

🐱2024年2月17日更新🐶【福袋】甘い香りを辿って行けば、登らずにいられなくなる山があるんだそう...和地つかさ©和地つかさInstagram『Ｉカップ『和地つかさ』金賞級SEXY画像集。』Ｉカップグラビアアイドル和地つかさ(わちつかさ)金賞級SEXY画像集。©和地つかさInstagram水着姿©和地つかさInstagramビキニ姿©和地つかさI…ameblo.jp日向葵衣©日向葵衣Instagram天月あい©天月あいTwitterX(サブ垢)雅楽代りか(うたしろりか

お兄ちゃんとちょっと遠くまでドライブデート今日はお天気いまひとつ山の上はお天気あんまり良くなかったけどしばらくしたら青空が帰りにめっちゃ美味しいジェラートブルーベリーとラズベリー今日お兄ちゃんの派遣先の上司の人から連絡が来て復帰したあとの職場をどうしたいか、というお話がありました(職場は大きく２つあってＡ、ＢとするともともとはＡで働いていて３ヶ月たったところでＢに移動そこでパワハラにあった)お兄ちゃんの希望はＡに戻って仕事したいその事を上司に伝えたとこ

10紅嵐先生は、俺でも名前を知っているくらい有名な陶芸家だ。先日、都内で個展を開き大盛況だった。だから、たしか、これから全国各地を回って開催する計画だって聞いたような・・・しかし、先生に息子がいて、おまけに俺と同世代だとは、知らなかった。智は、小柄で華奢で、先生とは全然似ていなかった。だが、先生と同じで温和で優しかった。何処の馬の骨かもわからない俺に同情してくれると、記憶が戻るまで遠慮なくここにいて構わないからと、ニッコリと笑った。「ありが