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「い、一緒に…一緒に入らない?」緊張のせいで掠れて聞き取れないほど小さく、あまりに情けない声で言った言葉に、チェ・ヨンは意味が分からないとでも言うように聞き返した。「…は?」「えっと、だから。一緒に入らない?って…」「そうではなく」信じられないものを見るような目付きを向けられて、恥ずかしさで居た堪れなくなる。けれどこの人を離したくないと思った気持ちに嘘は無く、一度口に出したからには引き下がりたくなかった。「まだ傍にいたい。だめ?」「良識の範囲内で。俺はそう言いました」手を掴まれ
典医寺に運んだウンスをヨンは自分で着替えさせようとした「馬鹿者!ここは屋敷ではないのだぞ少しは大護軍の体面を考えろ!」チェ尚宮は心配するヨンを追い立てユリと共にウンスを着替えさせようとしたが…あの阿呆め吸い付ついた痕がまだ残っておるわ首筋や胸元に薄っすら残った赤い情交の痕が目に入ると火鉢の手配を言い訳にユリを退室させたあの馬鹿者はまったくこんなところにまで吸い付きおってまるで盛りのついた獣ではないかこれほどあちこちに印を付けねば安心できぬのかいや
またウンス殿が男に抱きついている今度の男はいったい誰だ何者だ火と火薬の始末を隊員に指示しながらサンユンは視界の端にウンスをとらえていたウンスは驚きと喜びで涙を浮かべながらシンの顔を見つめ「シナ!心配してたのよどこに出たの?今までどうしてたの?」「それはこっちの台詞だウンスはちゃんとこの時代に辿り着いたんだな」「ううん最初は別の世に出たのよ別の世って言ってももともと私が生まれた世界なんだけど…でも私が戻
もう少しで昼時を迎えようかという刻限、俺達二人は開京の町中を馬で進んでいた。「イムジャ、もういいでしょう」常歩にゆらゆらと揺られながら、大人しく俺の腕の中に収まっているこの方は、聴こえているであろう言葉にも無言を貫いている。「そろそろ機嫌を直して下さい」外衣の頭巾を深く被ったまま、ちらりとこちらを振り返った目元は赤く染まり、唇は小さく尖って不満を訴え掛けてくる。立ち上り続ける花のような香りに包まれながら、俺は今朝の出来事をぼんやりと思い返した。顔を洗う為の湯を器に張り、手拭いと共に部
さすが良家の子息チョイス!トクマンが選んだ宿はウンスも納得のこの時代にしては素敵な宿だった静かな二間続きの離れで護りも効き隣りの棟も空室にされており他の泊まり客の身元も調べ済であったトクマンも随分使える様になったものだとヨンは珍しくトクマンを見直した「医仙様〜とりあえずこの饅頭をどうぞ夕餉はた〜んと用意してくれるよう頼んでありますのでそれまではこれでご辛抱くださいあとこの宿は湯殿がございます手拭い
宿に着いた時にはもう日は暮れていたウンスが〝ばっぐ〟と呼んだ天界の荷が気になりテマンは話を聞きたくて残っていた湯上りのウンスを見られたくなくてヨンは警護をテマン頼み先に風呂に向かったヨンが部屋を出るとテマンは早速天界の荷について尋ねたウンスは嬉しそうにバッグを卓にのせて効果音を口にした「じゃじゃ〜ん!いいテマン君天界にはカメラといって今目に見えている景色をそのまま絵に残せるカラクリがあるのほらこれ私の顔が写ってるでしょ」そう言
その場所にウンスがやってきた。用意されていたそれに着替えるよう指示を受けた。高校生の制服。いまどき女子高生のふりをするらしい。女性の隊員に指示を受ける。「こちらに着替えてください」なつかしいものだ。スカート・ジャケット・白いシャツにリボンを結んだ。「うーんとそれから」化粧に派手な飾り・爪にも色を塗っていく。「あとは・・髪も」カールにさせたほうがいいという。ウンスが変装をして男たちの前に現れた。「おお」「これは」「すげっ‥どうやったんだ?」まるで別人になったウンスがそ
「みなさんお忙しい中集まっていただいてありがとうございますこれから王妃様の〝妊活〟つまり妊娠活動を支援するうえでみなさんのお力をお借りしたくて来ていただきました私は王妃様の主治医になったユ・ウンスですまだまだ不慣れで未熟者ですどうかみなさんの御力をお貸しくださいよろしくお願いします」ウンスが挨拶するとジンとジミンが好意的に頷いたもののアン内官は自分が何故呼ばれたかわかっておらず心配そうな顔をした王妃が懐妊しないなら側室を娶れ
「ですが入れるなと命令を受けています」「このっような時刻です」トルべ送って差し上げろとチュンソクがトルべに指示を出した。「私は医者よ」床にへたりこんで懇願している。「そいう立場のかたですから」人に弱っている姿を見せられない。みせてはならぬのです。それが王宮という場所です。そっといくわ。誰にもみつからないようにするわとテマンにも頼む。ウンスは中に入っていくと奥の床にだるそうに座っている隊長の姿をみつけた。「何した・・かえれ」いら立っているようだ。「テマン君に見
始まりはソウルの街角でのこと。人も多い場所で声をかけられたとこからだった。名刺も渡されたので信じた。その人は有名なカメラマンだという。「モデルをしてみない?」君達高校生だよネ。と確認された。それだけあやしいと私は思ったんです。依頼主は言う。まだ高校生だった。頭もよさそうだ。叔母が話を聴いていた。「それで?」あえて名前はふせておく。未成年だからだ。「友人は大丈夫だと」その男についていってしまったんです。「あなたは?」「私は帰りました」「友人をおいて?」「すみません」説
少し飲み直したいとイムジャが言い出し、共に店の裏にある厨(くりや)へと足を運んだ。「マンボ姐さーん。ごちそうさまでした!食器、ここの盥の水に漬けても良いですか?」「わざわざ悪いね。助かるよ」夕刻店へ着いた時に聞こえていた喧騒は、客足が下火になった事で途絶え、店内はいつもの平穏さを取り戻していた。代わりに厨の中は、使い終わった食器や食材の残りなどが乱雑に取り散らかされ、まるで物取りに荒らされた後のような有り様になっている。「手伝いの奴らは居ないのか」「つい今しがた、風呂の湯を沸かしに行
「默家だ!」叫び声と警笛が鳴り響きウンスは慌てて飛び起き足首の短刀を握ったがすでにテマンやペクジホウォンジョンに囲まれていたさらに数名の迂達赤が包囲するようにウンスを守り飛んでくる矢を弾いているが隣にいたはずのチェヨンの姿はなかったウンスは心配で囲まれた隙間から覗くとヨンやシントルベサンユンら迂達赤の精鋭が黒装束の男たちと戦っておりジウォンとシウルそしてマンソクが弓で援護しているのが見えた中でもヨンとシンは抜きん出
途中斥候に出ていたテマンから先にある中和(チュンファ)の街道沿いの集落が異様な雰囲気だと報告があった警戒しながら村を通ったが歩く人影は全くない一軒だけ店先の蒸籠からもうもうと湯気が立ち昇る饅頭屋がありまだ少女ぐらいの娘がひどく怯えた様子で立っている「どうしたんだ?誰も居ないけどこの村で何かあったのか?」テマンが聞いても娘は頷くのが精一杯でよく見ると背後に怪しい男が数人おり一人は娘の背に刃物を当てていた向かいの建物
追ってくるキチョルを振り切ったら天門に吸い込まれてソウルに出たわソウルって天界の私が暮らしてた街高麗でいうと漢陽?南京?のことよ私が働いていた病院えーっと天界の典医寺に行ってヨンの治療に必要なものを持って急いで天門を潜ったの次に出たのは高麗の高宗の時代だった今から百年前のこの地に出ちゃったのよもうびっくりしたわそこにヨンが居ないってわかって慌てて天門に戻ったのでも祠は閉じちゃって何処にも行けなかっただから私は次に
ウンスの腕をつかみ布団から引きずり出されてしまう。ほとんど裸の状態だった。「きゃぁ」胸を隠すが写真をとられてしまう。「やぁだ」やめて・とらないで。スカートのすそから太ももがみえている。それから何枚もとらてしまう。顔も隠すことができないように腕をもたれた。しばらくして歩くとヨンがどこからか現れる。「大丈夫か?」腕を握られて無事を確認されている。ケガはないか?「平気よ・・ただ‥写真をとられただけ」写真と聞いて乱れた髪の毛を大きな手でなでられた。ぎゅと顔をおしつけられる。
(sideウンス)思い出の丘へと続く道を上っていく。逸る気持ちを抑えきれず、その歩みは無意識のうちに早まっていく。途中、足がもつれ転びそうになりながらもウンスは懸命に足を動かした。少し遠くにあの大きな木が見えてきた。テマンさんの言葉によるとあの木のところにあの人がいる。本当に?あの人がいるの?もしいなかったら…?不安と、そこにいて欲しいという切実な気持ちが交錯する。徐々に大きな木に近づいていく。もしかして…そう思って木の下を見る。けれどそこに
朝からテマンがやってきた迂達赤の衣を持ってきたのだしぶしぶ迂達赤の衣に着替え髪もまとめたウンスヨンはすでに着替えて少ない荷物をまとめていたが迂達赤二等兵ユ・ウンスの姿を見てにこっと笑い頭をぽんぽんとした何処となく朝から不機嫌そうなヨンだったのでその笑顔に安心しきゅんとしながらももしかして昨日寝ちゃったから拗ねてるのまさかね〜でも今日から兵舎でしばらくできないし…ってやだこんなこと考えちゃうなんて私の方が欲
「ウンス」自分の名前を呼ばれ振り返るとそこには白い歯を見せてニカッ!と笑う男が瓶を持って立っていた。その男に静かに微笑みなぁに?お酒?と赤い髪を揺らしながら男の元へとゆっくり歩いた。貴方を助ける為に天門を潜り貴方を助けるための道具を抱えてまた天門を潜ったが辿り着いた先は貴方が居る時代より遥か100年も前の世界あの人が居る世界よりも生活様式は遥かに不便で食事も満足に取ることさえできない時代「どこから盗んで来たお酒かしら?」ふふっと微笑んで男が持つ瓶の中を覗くように少し前に
さっきTwitterを見てたらこんな記事が!!!オンエンオフイーション「ドショ」スペシャルMC出撃、機知に富んだ満点話術期待元ソースはコチラ→NAVERなんと、本日10月19日の出演だそうです。急だわ!急よ~~~イーション先生は今年に入って、SF9のジェユンさんとのバラエティ「ドタバタフレンズ」に抜擢されたり、元IZ*ONEのチェヨンちゃんとビューティ番組のMCを務めたりと、バラエティからのラブコールが留まるところをしりません!!さすがファッションリーダー!チャン
「でワンへって誰?」ヨンや古参の迂達赤が怒りで顔色を変える中ウンスが暢気に聞いた「王譓とは徳興君のことです」ウンスの動揺を心配したヨンだったが意外にもウンスは軽く言い放った「あああのストーカーね」「すとかー?」「そうストーカー特定の人に異常な程関心を持ってしつこく付き纏う人のこと」「わあ奴にぴったりな名前だな」テマンが思わず呟くとトルベも頷いているどこに隠れていたのか
「今日は楽しかったありがとう」夕餉の後部屋に戻ったウンスはヨンの背後から甘えるように抱きついて腕をヨンの腰に絡めるとヨンは回されたウンスの手に自分の手を重ね優しく撫でた「あれ?!昔は背後から近づくなって注意したのに今はいいの?」「イムジャの気配は読みきっていますので」イムジャの気は温かく優しい陽の気昨夜背後から近づいた妓生の気となんと違うことかこの気だけは見失わぬ暗闇でも迷わぬ俺の道標ヨンは笑
痛いくらいの動悸をどうにか深呼吸で治めつつ、私は格子窓を開けて、夕暮れ時の冷えた空気を部屋へ取り込んだ。まだ熱を持っているような唇を、そっと指先でなぞってみれば、先程までの様子が鮮明に蘇ってくる。かつて与えられてきたものとは全く違う、熱く苦しいだけの乱暴な口付けだった。それでも今までで一番、剥き出しのチェ・ヨン自身に触れる事が出来たような気がする。(私は結局、あの人なら何でもいいんだわ…)いっそ清々しいほどの諦めの気持ちになって、私は気を取り直し、手早く荷物をまとめ始めた。『三日の間
どれぐらいぶりだろう脚を伸ばして湯舟に浸かるなんて一瞬百年前を思い出して鼻の奥がつんとしたパシャパシャと顔に湯をかけて涙を自分にも誤魔化した湯浴みが出来ることの有り難さしみじみ感じるあ〜江南で暮らしてた頃はこんなお風呂じゃ絶対満足できなくて感謝の気持ちなんてこれっぽっちも無かったな〜高いシャンプーにトリートメント自分にご褒美のちょっといい入浴剤あとボディーソープボディークリーム…なんか今思うとすごく恵まれてい
夕餉後部屋に戻ったヨンとウンス扉を閉めるなりウンスを抱きしめヨンは口づけた「どうしたの?」口づけの合間にヨンと額を合わせながらウンスが聞いた「昨日まではずっと一緒にいたゆえ離れてる時間が長く感じて…イムジャのことが心配なのです」ヨンが苦しそうに答えた今日兵営に来たばかりなのにすでにウンスを見染めた輩がいる気がした「私は無事で今貴方の腕の中にいるわ」ヨンは首筋に顔を埋めてウンスの香りを深く
「ねぇ。ねぇってば。チェ・ヨンさん」「何です」「どうしたの。何だかぼんやりしてる?」「いいえ」取り付く島もない態度のチェ・ヨンに向かって、私が一方的に話し掛けているような状態が、ずっと続いている。大きな荷物と小さな荷物、そして私達二人を乗せた黒鹿毛の馬は、ゆっくりゆっくりと薄暗い道を進んで行く。どこに行くの?何をするの?そんな他愛もない事を話し合いたいのに、この人は無表情で押し黙ったまま、前に座った私を胸に囲い込むようにして、器用に手綱を捌いている。「待たせちゃったから、怒ってる
隊長にとらの子供を抱えるように指示を出す天界の女。「前の手をケガしている」消毒して包帯をまいてあげよう。「はやくしてください」イムジャ。ケガをしている腕をつかみ支える。消毒をした瞬間・「ぎゃ・ぎゃ・ぎゃ」すさまじい悲鳴を上げた。それでもつかんだ手をはさなかった。その代わりに隊長の手はトラにかみつかれて血だらけになった。「いたいね・・ごめんね」素早く手当てを終わりにさせた。トラの子供の怪我が治るまで面倒をみることにした。血ににじむ隊長の手もウンスが手当てをした。
朝の5時を少し過ぎた辺りに目が覚めた。隣りにヨンが寝ていて、点滴は何処にもなかった。きっとユチョンさんが来て、片付けてくれたのね。点滴をしたせいか、思っていたよりは起きた時のお酒のダメージが少なかった。まだ少し気持ちが悪いのと、頭が痛むけれど・・・。ヨンは敏感だから、私が目が覚めた時点で多分起きていると思うけれどまだ休んでいて欲しかったので、そっとベットから降りる。バスルームに行って鏡で自分の顔を見てみた。お酒で浮腫んでいるし、やつれているし酷い顔。歯磨きをしてから
「私の雇い主があなたを気にいったというの」仲間に入らない?「断る」「そういえば・・あの女・・恋人?」「違う」「なんだ・・遊びだったんだ・・かわいそう」楽し気に笑う。「お前に関係ないだろう」それだけなら帰れ。俺は忙しいんだ。ヨンが女と距離をあけて去っていく。ウンスがいるホテルに戻ることになった。「部屋の中にいる」「助かった」仲間もまた素顔はみせずに立っていた。用事が終ればその男が消える。部屋に入ると膝を抱えて椅子に座っていた。「ヨンさん」ぱっと顔を上げる。「
「儂の祖父は幼い頃天女殿と暮らしたことがあるそうでよう話をしてくれました祖父と言っても血脈の繋がりがあるわけではありません儂ら寺族は法脈で繋がっておるのですが…その祖父がいうておりましたこの世のものとは思えぬほど美しゅうてよい香りがするみなに分け隔てなく不思議な医術と賢くて優しい心でみなを癒すと」「住職様のお爺様はあの時の幼い小僧さんかしら一緒に川で遊んだり薬草を摘んだりしたわたまに天界の御伽噺をしてあげたとても素
「わあ〜可愛いコッソンピョン!」松餅が出されるとウンスは小さく歓声をあげて手を叩く「この時代でもこんなにいろんなコッソンピョンがあるのね食べるのがもったいないわ〜…食べるけど」そういって松餅を頬ばる栗鼠のような愛らしいウンス「うん美味しいなんだかほっとする素朴な味だわ貴方も食べて……ねぇヨンァ五味子茶どんな味がした?」ヨンが一口ソンピョンを食べ五味子茶を飲んで茶碗を卓に置いた途端