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誓約恋人㉒『プラチナコスメアワード大賞を受賞したチェ製薬会社のコスメ店が遂に江南区に出店という事で、新会社社長のチェヨン氏、お気持ちはどうですか?』『はい、元々この場所に出店したいとの希望はありましたので夢が叶い幸せです』『キャー!』『元はチェ製薬会社の会社でもありましたよね?自社を減らす事に何か戸惑い等はありませんでしたか?』『いいえ、チェ製薬会社の関係者も納得した上ですし、この会社に残りたいと言ってくれた社員もおりまして。本当に有り難いと思っています』『キャー!』『あぁ、やはり
「ふふ、まだ盛り上がってる……」「そのようですね……」宴の喧騒は未だ、俺達の閨…寺の離れまでも薄っすらと届いていた。渇望していたものがようやく満たされ、上がっていた息も落ち着き……俺は、己れの腕に乗せている愛しい人の顔を、じ、と見つめた。窓の障子越しにも月明かりは皓皓とし、夜目の利く俺だけでなく、イムジャの目にも……十分見えるのか、直ぐに触れられる程の距離だからなのか、微笑みながら見つめ返してくれる。俺は、もう片方の手をイムジャの柔らかい頬に当て、指の背でなぞりつつ、落ちてくる髪を梳く
元から奪還した、鴨緑江(アムノッカン)から西の領域。天門があり、赤月隊の村がある、安州の地。彼の地で、治安維持を兼ねた新入り達の鍛錬という、何とも有り難い王命を受け、俺は出立に向けて準備を進めていた。「……では、50名程を選抜いたします。迂達赤(ウダルチ)の新人と、忠勇衛(チュンヨンウィ)からもですか?」「ああ。それを二つに分けて、それぞれトクマンとテマンに当たらせる。ひと月毎に……いや、半月だ。人員は入れ替えていく故、残る者達にも気を抜くなと伝えろ」「イェ!」「王様と皇宮を頼むぞ
「へぇ〜……その、キム上護軍?アン・ジェさんの上官って言った?…居たかも。鷹揚軍の健康診断に行った時、やたら偉そうなブサ…イケメンじゃない人が」「え、貴女が診察を??」「あ〜……ううん、あの人には当たらなかったわ。他の人は…何人か診たけど」「………」「ねぇ、貴方が嫌がるのもわかるけど、私は医者なの。そんなおかしな気持ちで診察してないから安心して」「心配なのは貴女ではなく、男どものほうです。良からぬ事を考えるやも」「あらあら。困った旦那様ね」イムジャは、腰掛けた椅子ごと俺に身体を寄
ウンスが迂達赤兵舎に向かっている頃ヨンはテマンを供に久々に市を通り抜けチェ尚宮に呼び出された店へと向かっていた市井の人々はチェ・ヨン将軍を見かけると気の毒そうな視線を向けたというのもマンボを筆頭に手裏房らによる情報操作でキム家との縁談など虚言だと徐々に民たちに浸透してきたからだ家人不在のチェ家の屋敷に度々賛成事の娘が無断で入り込み数年もの間チェ家に執拗に付き纏い今や奥方のように振る舞いだしてとうとう気が違ったようだチェヨン将軍が拒否したに
【少し直接的な表現があります】【原作の雰囲気を大切にされる方にはお勧めできません】三日ぶりに皇宮へと帰還した俺は、現地を見取った結果を王様へと報告した後、息つく間も無くその足で上役との軍議に臨もうとしていた。「なあ、チェ・ヨン。開京にある大司憲(テサホン)の屋敷なんだがな…」共に宣仁殿を後にしたアン・ジェが、歩みを止めぬまま思案顔で口を開く。どうやら禁軍の中でも、キム・ヒョクと元国の繋がりに関する様々な噂話が、実しやかに囁かれているらしい。真偽の定かでないものから、以前に報告が上
木々の緑も鮮やかな、新芽の芽吹く季節になった。タムがこの世に少しだけ慣れて、私もオンマ業に少〜し慣れた頃。夜中に泣いて起きる事が、ほぼ無くなったタム。おかげで私も、朝までしっかり眠れるようになっていた。(有り難いわ〜)そこで、タムのベッドを子ども部屋から夫婦の寝室へ移し、夜も親子3人で過ごすようになってしばらく。…ふ、と目を覚ますと、じっ…と、タムのベッドを覗き込んでいる人が——「お帰りなさい、ヨンァ。いつ戻ったの?」私は寝ぼけ眼を擦りながら、帰宅した夫の側へ寄った。「少し前
両親の寝室。2つ並んだ布団の上の、2人の間に私は小さく座り込んでいた。頬の涙の線を、オンマが黙って拭ってくれている。「ウンスヤ。眠れないのか?」最初に口火を切ったのはアッパだった。「昼間の話に驚いたのか?何も今すぐって訳じゃない。いずれ父さん達はそうするつもりだから、お前に伝えておきたかっただけなんだ。お前は自分の幸せだけ考えたらいい。ウンスの幸せが、父さん達の幸せなんだから」オンマも大きく頷いている。その手はいつの間にか、私の頬から頭へと移っていて。何だか私……小さい子ど
その場所にウンスがやってきた。用意されていたそれに着替えるよう指示を受けた。高校生の制服。いまどき女子高生のふりをするらしい。女性の隊員に指示を受ける。「こちらに着替えてください」なつかしいものだ。スカート・ジャケット・白いシャツにリボンを結んだ。「うーんとそれから」化粧に派手な飾り・爪にも色を塗っていく。「あとは・・髪も」カールにさせたほうがいいという。ウンスが変装をして男たちの前に現れた。「おお」「これは」「すげっ‥どうやったんだ?」まるで別人になったウンスがそ
ヨンは、深く慈しむような表情(かお)で、その愛しい声を聞かせてくれた。「……随分、待ちました」私は嗚咽を堪えて、大きく頷いた。「こんなに待つものだとは……理不尽にも程があります、イムジャ」「理不尽て……あ」さぞおかしな顔をしていたのだろう。ヨンが私を見て小さく吹き出して言った。「“でーと”とやらは……こんな理不尽な待ち合わせから、始まるのですか?」あの日。ヨンと2人で天門へ向かっていた時に。私は、彼の腕に自分のそれを絡めて、幸せに胸を弾ませていて。何だか、デートみた
急いで指輪を買って来た男達。張り詰めた空気が漂っていた。奥様?どうかしたのですか?部屋の隅っこにいたテマナが…テ、テジャンは、サイテーだ!医仙様とあの女に言った言葉をま、間違ったんだ!なんだと!ヨン!それは、失礼にも程がある!旦那様!では、奥様にはぷろぽうずしていないのですか?い、いや、愛してると言ったし、ずっと側にいるとも言った…それは、婚姻の申し込みの言葉ではありません!私は二十数年前から、アイシャだけを恋い慕って、この先も命尽きるまでアイシャだけです!そ
ヨンは村長に現代で言うヤンジの戸籍をもって来て貰った。驚いた事に、それには、ヤンジとミルは夫婦になっていなかったのだ。どういう事だ?はい。私共も、あの二人がこの村に来た時は、夫婦者だと思っておりました。しかし、婚姻はするが、暮らしが安定してからと、怪しい者でもなかったし、二人共、親を殺され、支え合って来たと言うので、村で住む事を許しました。とっくに婚姻したものだと思ってましたが、これを見て驚きました。えっ?あの人が村に住んでから、役場に婚姻の届けを出したと言ってま
翌日。鉄原の皆さんにお礼とお別れを言って、私達は開京への帰路に着いた。来た時と同じように、辺りを警戒しながら、馬車のメンバーも入れ替わりながら……それでも、行きとは違って、誰もが柔らかい安堵の表情を覗かせながら、都までの道中を過ごしていた。「お帰りなさいませ!旦那様、奥様!」「ご無事でよろしゅうございました」「お疲れでございましょう。風呂が沸いております。どうぞ!」チェ家の…我が家の門前に着いた時から、ギチョン達が飛び出すように出迎えてくれて……自分でも驚いたんだけど、私は思わず泣い
「妻も高麗の民、か。確かに一理あるが……大護軍はその、国防も国の繁栄も、全て妻の為だと?」「そうです」あっさり答えた俺に、セクの目が行き場なく泳いだ。——セクよ。あの男だけは敵に回すものではないな。何と厄介な夫婦が出来上がったものか……あの日ジェヒョンがそう溢していたと、後々セクが笑って語った。............................................................ようやく家に戻った俺は、出迎えのギチョンにイムジャの様子を尋ねた。テ
程なくヨンは、鴨緑江(アムノッカン)領域奪還の為、北へ進軍していった。“高麗の守護神”などと呼ばれ、日増しに高まる賞賛の声……私も見送りに出たが、それはそれは意気揚々として、我が甥ながら立派な姿だった。「ヨンはそろそろ安州かねぇ」「ああ。しばらくは戻れまいよ」「いよいよ元と戦か。まぁ、ヨンなら大丈夫だろ」「心配しなさんな、ヨンは無事に戻ってくるよ!」店の奥で溜め息を吐いている私が、どうやらマンボ兄妹の目には、甥の身を案じる叔母に映ったらしい。いや……此度は不思議なほど、彼奴の心配
「ヨンァ。ご飯にしましょ」典医寺の私の部屋の、窓辺に座ってヨンが外を眺めていた。振り向いたその顔には、火傷の痕が残っている。私の技術を持ってしても、元のように綺麗には治せなかった。あれからひと月余り。あの爆破事件で、助かった人、亡くなった人……ヨンのおかげで命拾いしたとはいえ、重臣たちもかなりの重傷だった。イ・ジェヒョンなどは、高齢も重なり未だ床に伏せたままだという。ヨン自身も、繋ぎ合わせた右手がうまく動かせず、今もリハビリを続けている。あの事件で皇宮の状況は大きく変わった。
宿に着いた時にはもう日は暮れていたウンスが〝ばっぐ〟と呼んだ天界の荷が気になりテマンは話を聞きたくて残っていた湯上りのウンスを見られたくなくてヨンは警護をテマン頼み先に風呂に向かったヨンが部屋を出るとテマンは早速天界の荷について尋ねたウンスは嬉しそうにバッグを卓にのせて効果音を口にした「じゃじゃ〜ん!いいテマン君天界にはカメラといって今目に見えている景色をそのまま絵に残せるカラクリがあるのほらこれ私の顔が写ってるでしょ」そう言
大広間の中央に置かれた大きな机の上に、次々と料理が並べられて行く。豆もやしのクッパを始め、貝の和え物や大根の水キムチ、冬野菜のジョンなどが、それこそ所狭しと。先程味わった恥ずかしさは、強引に頭の隅へと追いやって、私は食欲をくすぐる匂いを、鼻から思い切り吸い込んだ。「凄い。美味しそう!」両手を打ち鳴らして歓声を上げた私に、マンボ姐さんは満足そうに笑って頷く。「たんとお食べ。何かあったら呼ぶんだよ」そのまま慌ただしく店内へ戻って行ったところを見ると、今日は客足が好調なようだ。最後にチェ
紅巾討伐の戦と戦の間。イムジャの行方を知るために、ソン・ユを訪ねるよりも前の話になる。キ・チョルの実妹、キ皇后から召し出され、俺は元の都・大都に赴いていた。キ皇后。元の順帝、トゴン・テムルの妃。貢女(コンニョ)として、元に差し出された後、順帝の寵を受け王子まで産んだ。その威光を受けて、高麗で権力を欲しいままにしたのがキ一族だ。元の属国と成り果てている高麗で、兄キ・チョルと、キ・ウォンが如何にして死んだのか、キ皇后が知らぬはずもなく。つぶさに調べ上げているはずだ。イムジャの事をど
契約恋人⑪タン家の2人が約束したホテルのレストランに向かうと、チェ家のヨンの両親だけがテーブルに座って待っていた。「後からヨン氏が来るのかもしれないな」「・・・そうかしら?」自分に断って来たヨンが食事会などしたいと思う筈が無い。来るとすればそれは婚約破棄の為で、もしかしたらあの女性も連れて来るのではないか?とまでメヒは考えていた。テーブルの傍に行くと両親は椅子から立ち上がり、メヒの父親と握手をし、にこやかに話始める。「やぁ、久しぶりだね!」「数ヶ月前にアメリカでお会いしましたが、
今日も戻りが遅くなってしまった……俺は、既に薄灯りの寝所へ音も無く入ると、ぐっすり寝入っているイムジャの…額にかかる絹のような髪を、そっと撫でつけた。そしてすぐ側の、べびーべっとで静かに寝息を立てている息子の傍に立ち、その微かに聞こえる呼吸の、心地よい反復音に耳を澄ます。……何とも愛らしいことだ。我が子とは、このように愛おしいものか。聞いていた話ではあったが、まさかこれほどとは——己れの子というだけでなく、最愛の女人(ひと)との間に授かった子だ。タムは俺とイムジャの……違う刻を生き
さすが良家の子息チョイス!トクマンが選んだ宿はウンスも納得のこの時代にしては素敵な宿だった静かな二間続きの離れで護りも効き隣りの棟も空室にされており他の泊まり客の身元も調べ済であったトクマンも随分使える様になったものだとヨンは珍しくトクマンを見直した「医仙様〜とりあえずこの饅頭をどうぞ夕餉はた〜んと用意してくれるよう頼んでありますのでそれまではこれでご辛抱くださいあとこの宿は湯殿がございます手拭い
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迂達赤兵舎に戻ったヨン予想通り若い迂達赤らはヨンを見るや何か言いたそうなニヤついた顔を見せた「なんだ」「はい先ほど奥方様がお越しでした」「ああ」「噂ではなく実際にとてもお美しい方だと事実確認できました」ヨンはふっと薄く笑った「そうか」「とても明るいお方でした」「ああ」「とてもよい香りをされていました」「なに?!なぜそんなことがわかるのだ」「奥方様が通られた後の残り
「ねえ、本当にそこで待つの?」私が何度もしつこく問いかける言葉に、チェ・ヨンは仏頂面で頷いた。「万が一貴女に何かあった時に、少しでも近くに居なければ守れません」湯殿の前で番をすると言って聞かないこの人は、鬼剣を携えたまま、冷えた廊下に腰を下ろす。「そこに座ってられると、急かされてるようで落ち着かないんだけど…」チェ・ヨンは私の事を、言い出したら聞かない女だと思っている節があるようだけれど、私から言わせれば、この人にだけは言われたくない。「じゃあ、貴方がお湯を使っている間はどうするのよ
契約恋人⑰結局ウンスが予約した部屋は使われる事は無く、チェックアウトする際はヨンが2つのキーをフロントに返した。「ありがとう」「あ、ありがとうごさいました」キーを返して来たヨンにフロントスタッフは焦りながら受け取り、支払いは2部屋ともヨンが払うと言う事に正面の2人をスタッフ達は伺ってしまう。何しろ彼の片手はずっと女性の手を握り締めているのだ。「まだ時間があるなら少し寄りたい場所があるんだけど」「今日の夜までに帰れればいいから」「なら、大丈夫そうだね」そんな会話をしながら2人は去
チュンソクは慌ただしくしていた昨夜郡守の屋敷から戻った大護軍は不機嫌極まりなく眠っている医仙を大切そうに胸に抱き抱え医仙が使っている部屋に入ったきりだ宴から戻って来た兵士はテマントルベトクマンだけで何があったのか三人の話をまとめると宴で一服もられた妓生に扮した刺客がいた医仙が連れ出され貞操の危機だった医仙と部屋にいたのは迂達赤隊員だったしかも刺客は毒針を仕込んでいたことから徳興君の影が見え隠れするこれは大護軍も心穏やかに
——なるべく人目につかないように、医仙だと知られないようにお連れしろ。テマンくんにそう言い含めて、ヨンは流し目と微笑みを残して行ってしまった。髪を結いあげ傘を深く被され、顔を隠すようにして連れて来られた一軒の宿。安州の軍営地はここからすぐです。大護軍はじめ、役のついた者はここで寝泊まりしてます。他の者達は野営して……私に説明してくれるテマンくんも出世したのだろう……すれ違う兵士達が立ち止まっては頭を下げている。そして、連れ立っている私に、ちら、と送られる視線が痛かった。「ここが、大護
衣を乱した大護軍が深夜に湯桶を持って医員様の部屋に入った巡回していた隊員の一人はつい先刻ぎしぎしと寝台が軋む音と微かに混じる女人の声を聞き胸をどぎまぎさせていたが大護軍の行動でその意味をはっきり理解して顔を火照らせたやはりご夫婦なのだな明日からどんな顔をして医員様を見たらよいものか隊員はウンスが兵営に来てからの日々を思い返した一番印象が変わったのは大護軍だな寡黙で冷静で女人に無関心だと思っていたのにできるだけ医員様と共に
激しい雨の中一頭の馬が国境の兵営に辿り着いた門衛が闇の中の見知らぬ人間を誰何したが馬上の男は何も答えなかった門衛が再度大声で誰何したその声を聞きつけた警ら隊員が警戒態勢をとり報告を受けた夜警の組頭も駆けつけた男を見たトクマンが傍に駆け寄る「トルベ!!!」ずぶ濡れのトルベがにやりと笑った***連絡兵は飛ばしに飛ばしてヨンの期待通りなんとか三日で王宮に到着していたしかし草臥れ果てた兵