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続いてその他の本文から、探っていきます二次小説を書いたからこそ気づいてしまった、原作者のテクニックです。あのひとはテリィだと言っちゃってる「あのひと」とは、言わずと知れたキャンディの愛する人の代名詞。ファイナルの帯にも書いてあります。言い換えれば、「あのひと」という名前の登場人物です。アメリカに旅立つテリィを、キャンディが馬車で追っていくシーンにこのようなセリフが登場します。「どうか、どうか、間に合いますように…。テリィに会えますように…。わたしは、まだ
あのひとはどっちか?『あのひと考察』の本丸です♪ファイナルを未読の人でも分かるように書きました。一緒に考えましょう物語を自分の想像力で楽しみたい人は、読むのをお控えください🙇♀️※公平を期すため、アルバートさんの敬称を省略させて頂きます。二人が別れてからの10年間まず、ファイナルに書かれている流れを確認します。テリィ側ハムレット役で返り咲き、スザナと婚約したらしいが、結婚しないままスザナが亡くなった。「ぼくは何も変わっていない」とキャンディに手紙を書いた。こ
★★3-3どうやら伯爵は籠城作戦をとるらしい。「朝は食欲がなくてね、レディ一人でどうぞ。朝一番なら数量限定の特製クロワッサンが有るってさ」そう言って、伯爵は未だに寝ている。一人でレストランホールに行く分には、確かに何も起こらない。平和な朝だ。きちんとした身なりの上級乗客に交じるのは、普段着の自分には少々場違いな気もするが、朝食は一日の原動力。そんな理由で抜くことはできない。「おはよう!クッキー」ホールにクッキーの姿を見つけた。限られた人員。乗務員は一人何役もの業務をこなすようだ。
★★★3-5「君、今夜の舞踏会のパートナーになってくれない?」懲りないダニエルはキャンディを誘った。タイミングでも計っているのか、話しかけてくるのはいつもクッキーがいなくなってからだ。「あいにくですが、出席しませんので」朝食を済ませたキャンディはそっけなく答え、席から立ち上がる。女の子なら舞踏会と聞いて、ときめかないはずがない。しかし、ドレスもなければパートナーもいないのだ。伯爵が人前に出ることはありえない。「あら?アードレー家のお嬢様じゃございませんこと?」突然見しらぬ貴婦
ソネット連載中に用意していた考察系(?)原稿が発掘されました。お時間のある時にどうぞ※過去の日付で投稿していますが、実際の投稿日は6月14日です男性キャラを勝手に語るアンソニーアンソニーはあまりに早く死んでしまいます。文庫本では1巻です。アニメでは話を延ばすためかアンソニーは活発に動き、ロデオやら牛乳配達やら色々やらされていますが、漫画ではそう多くのエピソードはありません。連載が長期化すると分かっていれば、アンソニーはもっと色々やれたのに―・・アンソニーの魅力
★★★4-15一緒に住んで分かったことがある。テリィはかなりの読書家だ。帰宅が早い日は、夕食が済むなりカウチで読書に耽っている。「ふぁぁぁ~、・・おやすみなさい。先に休むわね」「あ、ごめん、もうこんな時間か。直ぐ行くよ、部屋で待ってろ」仕事と家事で疲労困憊のキャンディは、『直ぐ』を一秒も待てない方が多かった。雨の休演日は、ひねもす書斎に籠っていることもあるテリィ。先週は古語辞典を片手に難読そうな古書と格闘していたが、青天の今日はそんなことは無さそうだ。「テリィー!テリィー
★★★4-9稽古が早く終わり、夕刻帰宅したテリィは、馬小屋にセオドラがいない事に気が付いた。まだキャンディも帰宅していないようだ。「―おや、セオドラを連れてご出勤でしたか」やれやれ、と思いながらセオドラを迎えに川沿いの小道をゆっくりと歩き始めた。キャンディが届けてくれた脚本。確かにあの脚本でずっと稽古はしていたが、新しい脚本を渡され、劇もほぼ完成した今となっては、絶対必要という代物ではなくなっていた。「これからはキャンディに無茶をさせないように、きちんと話さないといけないな―・・俺も
※考察は全編にわたり、頻繁に加筆修正しています。考察好きの方は、定期的な再読をお勧めします考察①FinalStoryって?1考察のはじめにテリィ派って?派閥争いFinalStoryって?ファイルの構成時系列のポイント原作者の言葉2補足資料7つのエピソードの正確な文章テリィの手紙キャンディの出さなかった手紙名木田先生のインタビュー記事イタリア版ファイナルのまえがき考察②新旧手紙の
SONNETのあとがき物語は全て終わりました。如何でしたでしょうか。スッキリしていただけたでしょうか一番思い入れのある8章。5月の誕生石エメラルドの緑とキャンディの瞳の色との符合は、おそらく偶然ではないのでしょう。原作者の名木田先生、神です!!そして宝石言葉が「幸せ」と知った時にはもう鳥肌が立ちました。物語の中でキーワード的に何度も登場する言葉。これも瞳の色と掛けていたのだとしたら・・、ホント神業ですね。「エピローグ」の最後の数行は、FINALSTORYからの抜粋です。原
💛前回までのあらすじイギリスの劇団からハムレットの代役の依頼を受けたテリィは、急遽渡英することが決まった。紆余曲折の上やっとキャンディと再会したテリィは、イギリスへ一緒に来て欲しいと迫る。故郷の人を残してはいけないと一度は断ったキャンディだったが、アルバートの手紙に後押しされ決意する。スザナの墓前で過去について語り出したテリィ。スザナに対して特別な感情はなく、自立を支援していたと説明したが、多くの事は今は話したくないと、マーロウ家での生活や婚約の真相については明言を避けた。旅立ちの朝、港にテリ
漫画の後半を読むと、確かにアルバートさんはキャンディに恋心のようなものが芽生えているようです。しかし残念なことに、旧小説やファイナルではそのくだりはバッサリと欠落し、揺れ動く微妙な男心と、プロポーズかと思わせるセリフは全てカットされています。本筋と関係ないから切り捨てることができる、という解釈もできますが、少なくとも旧小説まではページの都合上だと個人的には思います。そこでまずは漫画に登場する、アルバートさんの感情を軸に時系列にしてみました。記事内では、老眼の負担軽減の為(笑)アルバ
★★★1-11草木も眠る真夜中、けだるいエンジン音がこの家の門前で止まった。暗闇で目の自由がきかない。冷たいポストに手を伸ばす。小ぶりだが厚めの封筒が一通だけ入っている感触に突き当たる。無理して帰ってきた甲斐があったと思ったのはその時だ。そこからは、先ほどと同一人物とは思えないほど俊敏な行動を見せた。勢いよくエンジンを再点火させると、深くクラッチとアクセルを踏み込んで敷地内に侵入し、急いで部屋の灯りをつける。差出人の名を確認するとようやく夢ではないことを実感し、笑みがこぼれた。
★★★1-4思い出ごと封印したあの日からちょうど六年が経つ。引き出しの鍵はずっと閉められたままだ。あれ以来、一切の邪念を捨てるようにテリィとスザナの幸せを祈ってきた。ブロードウェーのスター、テリュース・グレアム。もう手の届かない存在。それが今のテリィ。――ぼくは何も変わっていない突然手紙の文字が頭に浮かんだ。「・・あ、そうか。手紙が来たんだったわ。昨日――」あれは夢だったかと一瞬思ったが、確かに封を切った覚えがある。朝起きた時、机の上には確かに白い封筒が置かれていた。「・・
長い考察が苦痛な人の為に、要点だけをドライにまとめた「あのひと考察・総集編」です。※2010年発行の「小説キャンディキャンディFinalstory」を「ファイナル」と表記します。はじめにファイナルでは、キャンディのパートナーは「あのひと」と平仮名で書かれ、「愛する人」の意味で使われています。但し海外版では「Thatperson」や「He」の文字が充てられているケースがあります。しかしThatPersonは「あそこにいる人」の意味なので、名木田先生が意図する「あのひと」とは
代々伝わる宝石箱あのひとの家に代々伝わる象嵌細工の宝石箱。「代々」という表現は、他に一箇所テリィの実家に対して使われています。「グランチェスター家先祖代々の厳めしい肖像画」下巻83スコットランド移民のアードレー家より、グランチェスター公爵家の方が歴史があるものと思われますが、だからアードレー家ではない、とは言えません。装飾に使われている希少価値の高いマザーオブパールは当時の富の象徴・貴族のステータスでしたが、それをアードレー家が所持していても不自然ではありません。マ
★★★4-14劇団の裏口。その夜も多くの観客がお目当ての俳優に花束を渡そうと、出口付近に詰め寄っていた。その花道を全く関係ない人物が歩かなければならない、このまずさ。「――あの時、ながながと話し込んでいたわよね。どんな話を?」「持っている素材と才能が違いすぎると僕が言ったんです。そしたらグレアム先輩は―」さりげなく会話をしながら通り過ぎるのが常套手段なのだが、呼び止められることもしばしば。「ねえ、ちょっとそこの君たち、テリュース・グレアムはまだ中にいる?いつ出てくる?」「帰ったかど
★★★2-10©水木杏子・いがらしゆみこ画像お借りしました夜通し走る寝台車つき特急列車。交通手段が電車に移りつつあるこの頃でも、長距離を結ぶ路線は相変わらず蒸気機関が主流だ。シカゴを中継しこの列車の先頭車両に乗り込んだキャンディは、ホッと息をついた。「ニューヨークへの直行便・・。あとは朝が来るのを待つだけね」もうすぐ会えると思うと、キャンディの顔は溶けかけたアイスクリームのようにしまりが無くなり、垂れてくる目じりを何度もキュッと持ち上げる。そんなキャンディの様子を、向かいの席
★★★7-8何がそんなに難しかったのかと思うほど鍵はいとも簡単に開き、水色のリボンで固く結ばれた束を手に取ったキャンディは、懐かしそうにそれを見詰めると、そっと胸に抱いた。「象嵌細工の宝石箱にしまおうかな」「・・これを?」黄ばんだ記事の切り抜きと封筒。ハガキも混じっている。ふさわしい収納場所とは思えない。「だって、テリィの手紙だもの・・。宝石箱は私の好きに使っていいんでしょ?持ち歩いていたデビュー当時の切り抜きが、既に王様のように収まっているのよ?これも仲間に入れてあげないと不公平だわ
★★★1-5「ただいま・・・」「キャンディ、まあ!びっしょりじゃない。レインコートはどうしたのっ!」「ちょっと頭が痛いの…、みんなに移しちゃうと大変だから、先に休んでいい?ご飯はいらないわ」相変わらず様子がおかしいキャンディをレイン先生は気に掛けてはいたが、思春期の子供を持つ多くの母親がそうするように、本人から何か言ってくるまでは干渉しないでおこうと決めていた。「ちゃんと体を拭いて、温かくして寝るのよ」「おやすみなさい・・・」部屋に入ると机に置かれたままの白い封筒が、これは現実なの
★★★1-8その夜、キャンディは淡いピンク色の便箋と封筒を取り出した。返事を書くのは至極当然なのに、アルバートから言われるまですっかり忘れていた。机の前に座ってはみたものの、文章が何も思い浮かばない。ペンを持つ手が石膏のようにかたまり、眼だけが便箋の線とひたすらにらめっこしている。「あ~、もう!おしゃべりと手紙は得意なはずなのにっ・・!」キャンディは無意識にとめていた息を一気に吐き出すと、ベッドに身を投げた。「ダメダメっ!とにかく手紙が無事届いたことだけでも知らせなきゃ、きっと待っ
★★★5-6髪を結んだその姿に一瞬別人かと思ったが、その声と威圧感は先日のハムレットそのもの。「な、なんでお前がいきなり登場するんだよっ、、!」テリィに高い位置から見下され、ジャスティンは思わずたじろいだ。「悪いね、ここは私有地だ。・・気づかずに入ってくるネズミがたまにいるが」「私有地?」一瞬意味が分からなかった。この森は公園の予定地か何かと思って深く考えたことはなかったからだ。(・・ここが敷地だとでも?)貴族の圧倒的な財力を目の当たりにし、思わず喉がゴクリと鳴る。「テリィ、
続いて、また別の視点からの考察になります。長い物語が必要なのは誰?「あのひとが誰かをきちんと描くには、長い物語が必要なのです」下巻336と名木田先生は言っています。長い物語は20年分、単に恋愛の成就だけではありません。どうでしょうか?検証してみます。アルバート編①恋愛期間②(結婚)③アードレー家、危機?エイボン川の町に引っ越し④第二次世界大戦勃発・アメリカへ帰国?既に漫画や旧小説において確固たる関係を築いているアルバートなら、恋の成就はあっさり成し遂げ
★★★1-2翌日は朝から空が重く、午後になるとぽつぽつと降りだした雨が地面をぬらし始めた。「はあ~・・、降ってきたの」「・・ぬかるんだ地面に足をとられない様に・・気を付けて行って来てください・・」マーチン先生は、覇気がないキャンディの様子が気になっていた。今日のキャンディは包帯を巻く部位を間違えたり、診療代をもらい忘れたりと、集中力に欠けていた。(・・地に足がついていないのは、キャンディじゃろ)マーチン先生は一抹の不安を覚えつつも、往診に行く準備を終えた。「新患が来たら待たせてお
キャンディの「今」をろくに調べもせずに出したようなテリィの手紙の文面。短いながらもテリィらしさ全開の文面は、突っ込みどころ満載です。再現度100%の全文に登場してもらいましょう。キャンディ変わりはないか?……あれから一年たった。一年たったら君に連絡しようと心に決めていたが、迷いながら、さらに半年がすぎてしまった。思い切って投函する。――ぼくは何も変わっていない。この手紙が届くかどうかわからないが、どうしてもそれだけは伝えておきたかった。T・G書いたのはいつ?
小説FINALSTORYに出てくる「エレノア・ベーカーへの手紙」を基にした一話完結の物語です。ファイナル、SONNET本編が未読でもご覧いただけます。※ネタバレには絡みません11年目のSONNETスピンオフハムレットの招待状★★★ごめんなさい、ミス・ベーカー。ミス・ベーカーのお気持ちは痛いほどありがたいのに。この招待券を見つめているだけで、わたしにはテリィの舞台が観え、歓声と鳴りやまぬ拍手が聞こえてくるような気がします。この招待券はわたしの宝物として大
★★★2-13テリュースはやり遂げた満足感でいっぱいだった。観客の中にキャンディがいなかったのは残念ではあったが、それよりも今は無事が確認できただけで十分だった。最低限の安堵感を得た事で、演技に集中する事が出来たのだ。しかし、舞台を降りた瞬間から、脇に寄せていた焦燥感が津波の様にどっと押し寄せてきた。(ケガは大丈夫だろうか・・・あの町に留まっているだろうか)町に向かう途中に再び立ち寄った事故現場では、夜通し作業が行われていた。作業にあたる関係者から、患者が搬送された複数の病院の住所と
※2024年5月7日内容を更新しました。小説キャンディキャンディFINALSTORY復刊を目指しています活動をご存知ない方はこちらをお読みください『ファイナル・ストーリーを復刻させよう!』諦めていませんか・・・?3万円出せないと。。。。何がってこれです!!諦めるのはまだ早~い!!※つい昨日まで諦めていたのは誰?こちらのブログ…ameblo.jpフリマで超~高額で取引されてるこの本遥か昔の記憶が、かろうじて残っているそこのあな
★★★3-10何か所かロンドンの名所を案内してくれたテリィは、大きな寺院の前に車を停めた。「ここで待ってて」と言い残し、何やら受付窓口の人と話をしている。戻ってくると「中を見学できるよ」とキャンディに声を掛け、車から二つのトランクケースを下ろした。「君はこっちを持ってくれる?」テリィからシルバーのトランクケースを渡され、「なんで持ち歩く必要があるのよっ」と、不可解だったので訊いてみたが、「大切な衣装だから」と言われれば反論の余地はない。車上あらしにでも遭えば、最悪の場合公演延期にもな
★★★8-3「・・・このポスターを貼った頃、俺には描いていた未来があった」テリィは壁に貼られたままのロミオとジュリエットのポスターを遠い目で見つめた。「君がこの小さなキッチンで朝食を作ってくれて、『いってらっしゃい』って送り出してくれる。疲れて稽古から戻ると『お帰りなさい』って迎えてくれて、その日あった他愛もない出来事を報告し合い、あの小さなベッドで君を抱きしめながら眠りにつく。そしてまた次の朝を迎える・・。ポスターに落書きを残して君が去った後も、その幻影はなかなか消えてはくれなかった・
考察前のつぶやき「あのひとのことは、はじめから曖昧にしようと決めていました」下巻336これはファイナルのあとがきに書かれている、原作者名木田先生の言葉です。これを『どちらともとれるように書いた』と解釈する人がいるようです。そう思いますか?この言葉だけ見ると、そうかもしれません。なので「文脈」を見てみます。後に続く言葉を紹介します「あのひとが誰かをきちんと描くには、長い物語が必要なのです。あのひとを明かしてしまうと、長年の読者たちの夢を奪うことになるか